プラネットナインが存在するかもしれない最後の領域 カリフォルニア工科大の研究

2024年2月24日 10:36

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 プラネットナインとは太陽系第9惑星を指す言葉で、少なくとも2006年に冥王星が惑星から準惑星に格下げされて以降、用いられるようになった。年配者にはプラネットナインから惑星ニビルを想起する人も多いことだろう。

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 惑星ニビルは、1970年代に出版されたゼカリア・シッチンの著書の中に登場する公転周期3600年で太陽を公転する未知の惑星で、ニビルの住人がかつて地球を訪れ、人類の誕生や進化に決定的な影響を与えたとシッチンは主張したが、現在では彼の説を支持する科学者の数はほぼゼロだ。惑星ニビルはともかく、現在も地道にプラネットナインの存在の可能性を信じ、探索し続けている科学者は大勢いる。

 カリフォルニア工科大学の科学者らは、プラネットナインに関する最新研究成果を、科学論文サーバーarxivで公開した。研究には、ハワイ大学天文学研究所によって運営される共同天体観測システム、「Pan-STARRS(Panoramic Survey Telescope and Rapid Response System)」による観測データが用いらられた。プラネットナインが存在する可能性のある場所を絞り込む目的で着手され、既にそのうちの80%の領域で調査を終え、78%の領域で存在の可能性を否定している。

 これにより、プラネットナインが存在する可能性のある領域はかなり絞り込まれたが、まだ新惑星発見には至っていない。だが従来、質量が地球の10倍程度、直径は地球の2~4倍程度、公転軌道長半径700天文単位と予測されていたプラネットナインのスペックを、より具体的な数値で予測。質量は地球の6.6倍、公転軌道長半径500天文単位としている。

 観測機器の性能が著しく向上した現在、もしもプラネットナインが本当に存在するのであれば、発見されるのは時間の問題だろう。

 今回公表されたプラネットナインのスペックは、従来太陽系惑星になかった珍しいものだ。しかもこれまでに発見された系外惑星に類似のスペックの星が多いことから、プラネットナインの研究により、類似する系外惑星の誕生機構解明や、具体的にどんな惑星なのかを類推するのに役立つだろうと、科学者らは期待している。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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