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20億光年彼方から届いたガンマ線バースト、地球の電離層に影響 伊ラクイラ大ら
2022年10月14日にチリのジェミニ・サウス望遠鏡で撮影されたGRB221009A。(c) Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/B. O'Connor (UMD/GWU) & J. Rastinejad & W Fong (Northwestern Univ) Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller, M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)[写真拡大]
ガンマ線バーストは、恒星の最期に超新星爆発が起きた際などで、非常に高エネルギーが放出される現象だ。1日数回程度宇宙のどこかで発生し、地球上の観測網でキャッチされている。だが幸い、そのほとんどは地球環境にさほどの影響を及ぼさない。
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1つの銀河では、数百万年に1度しか起こらない現象だが、宇宙には銀河が無数にあり、地球上で頻繁に観測されるのだ。だが地球46億年の歴史上では、大量絶滅をもたらした可能性が高いガンマ線バースト現象も確認されており、このようなケースは極めて稀であるにしろ、無視できないのも事実だ。
科学誌「Nature Communications」に11月14日に掲載された、伊ラクイラ大学の科学者を筆頭とする論文では、昨年10月9日に観測された巨大なガンマ線バースト「GRB221009A」が、地球大気の電離層に著しい影響を及ぼしていたことが明らかにされた。
GRB221009Aは、地球から約20億光年離れた位置にある恒星の爆発によって生じ、ガンマ線バースト持続時間は約13秒だっだが、地球では約数時間にわたり、電離層をかき乱した。
電離層は、地球上空50~950kmで大気を構成する窒素や酸素などの分子や原子が、紫外線やX線にさらされた結果、電離した状態にある層だ。GRB221009Aは、地球の電離層の最下層に、大規模な太陽フレアに匹敵する痕跡を残したという。
太陽までの距離は光で8分少々なのに対し、GRB221009Aの発生源は、光で20億年もかかる距離にあり、今回のガンマ線バーストのすさまじさを物語る。
だが、オルドビス紀(4億8800万~4億4300万年前)の終盤に、海洋生物の70%が大量絶滅した原因がガンマ線バーストであることを示唆する論文が、2005年にNASAの研究者らによって公表されている。この時地球を襲ったガンマ線バーストは、GRB221009Aとは比較にならないほど強烈なものだったに違いない。
大量絶滅の危機をもたらすのは、地球の近くでガンマ線バーストが発生するケースだ。例えば、超新星爆発が近いと噂されていたベテルギウスは、地球から600光年ほどしか離れていない。だが幸いにしてこの星のガンマ線バーストは、発生したとしても地球以外の方向に進んでいくだろうと言われているので、安心してほしい。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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