有望視されるトランク市場 新規上場:ストレージ王の収益・株価の現状

2023年10月10日 07:45

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行徳トランクルーム(画像: ストレージ王の発表資料より)

行徳トランクルーム(画像: ストレージ王の発表資料より)[写真拡大]

 色々な資料を見ると、いわゆるトランクルーム市場の先行きは「有望」と判断してよさそうだ。世界の普及率は、米国で世帯当たり約10%。対して日本は1%程度にとどまると言う。

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 業者が発信元であることを頭に置いても・・・トランクルームの運営を手掛ける企業にキュラーズがある。HPを覗くと「全国に67店舗を展開、室数は4万室。市場シェア25%」とある。そのキュラーズが屋内型・屋外型を合わせトランクルームの市場規模を「2008年:270億円/2020年:670億円」とし、「2026年には1000億円を予想する」としている。

 そんなトランクルーム運営企業:ストレージ王(東証グロース)が上場したのは、昨2022年4月27日。事業内容は、以下のとおり。

(1)トランクルーム運営事業: 運営するトランクルームは自社企画・開発し収益用不動産とし売却、その運営管理。既存のトランクルームの運営管理受託。

(2)その他不動産取引事業: トランクルームに併設するオフィスや住宅の仲介・再販・賃貸。

 主は「(1)」。

 では「満を持して(2010年設立)」の上場であろう、ストレージ王の収益動向はどうか。上場後初の決算:2023年1月期は22年1月期の「立ち直り基調(営業利益は1億5300万円の黒転)」に対し、「0.1%減収、0.3%営業減益」とほぼ横ばい。

 が今1月期は「5.9%の増収(32億4700万円)、4.4%の営業増益(1億6000万円)、11.2%の最終増益(1億1400万円)」と順調な歩み。トランクルームの開発分譲(屋内型)が前期比1件増の5件、運営管理件数が15%超増で期末1満室乗せがその背景とされる。

 下期偏重型の収益構造だが、第1四半期はまずまずの発進。ストレージ王では、「横浜に室内型の用地を取得。今後とも年5件ペースの開発を想定している」と発信している。

 また今後を、こうも見通している。「都心部のトランク事業の堅調は継続しよう。ホテルなど投資が難しい状況から、ボラティティからもトランクルームが選択されよう」。

 公開価格660円に対し初値は100円近く高い756円で生まれた。本稿作成中の時価は500円台半ば。PER8.97倍と割高感はない。今年3月29日に463円までIPO人気の整理が進み、暫くは480円前後の揉み合いから9月1日に703円まで急伸。目下は落ち着いた値動きを示している。IPO株の流れとして「株式分割」「配当開始」は、踏むべき?ステップ。その当たりを確認するべきか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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