ZOZOスーツで側弯症の検知に成功 ZOZOと東大が共同研究

2023年9月1日 16:03

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ZOZOスーツと検証用に開発した専用のスマホアプリを用いた側弯症検知のイメージ(画像: ZOZOの発表資料より)

ZOZOスーツと検証用に開発した専用のスマホアプリを用いた側弯症検知のイメージ(画像: ZOZOの発表資料より)[写真拡大]

 ZOZO(千葉県千葉市)は8月31日、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ZOZOスーツ)」を使い、側弯症の検知に成功したと発表した。東京大学との共同研究によるもので、専用のスマートフォンアプリを使用する。

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 研究では、中等症以上の脊柱側弯症の検知に成功した。これにより、特に思春期に多く発症する脊柱側弯症の早期検知が可能となり、治療の適切なタイミングで発見できるようになる可能性がある。

 被験者がZOZOSスーツを着用し、専用のスマートフォンアプリの指示に従い、体の向きを変えながら写真を撮影するもので、これによって体表の3Dモデルが生成される。その後、この3Dモデルから得られた横断像を分析し、側弯症を示す特有の数値であるZ値を算出。このZ値を基に、側弯症の重症度を判定し、感度95.3%、特異度58.6%で側弯症を検出できることが確認できたという。

 脊柱側弯症は、脊椎の正面や背後からのゆがみ、曲がりのことを指す。特に思春期特発性側弯症は、自覚症状が乏しく気付きにくい疾患の1つだった。これまでの検査法では、感度の問題や適切な時期に検知できないといった課題があった。

 だがこの共同研究によって、ZOZOスーツとアプリを用いて、コブ角25度以上の中等症以上の側弯症を感度95.3%で検知できることを示した。

 今後この技術を応用することで、自宅でのセルフスクリーニングが可能な新しい診断ツールが開発されることが期待される。実現すれば、側弯症の早期発見と適切な治療の提供が容易になる。また手術を回避できるケースが増えれば、医療経済的にもメリットがある。

 この研究成果は学術誌『Spine』に掲載され、新たな脊柱側弯症検知のスクリーニングツールの基盤としての価値が示唆された。今後、実用化に向けた取り組みが進められる見通しだ。

 ZOZOスーツはZOZOが開発した3Dスーツ型の体系計測システム。2017年11月に発売され、ファッション業界に大きなインパクトを与えたが、2022年6月にサービスが終了していた。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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