今期ROE予想11%、ニッチでリッチと称されるニッソウとはこんな会社

2023年8月6日 19:17

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 ニッソウ(東証グロース)。首都圏を中心に賃貸住宅・ビル(事務所)の原状回復工事などを、中小不動産から受注し施行している。2020年3月上場のレア業態企業。

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 一口で言うと、ニッチだがリッチな企業。具体的な業務内容をニッソウでは、こう説明し訴求する。

 「原状回復工事: 賃借人の入替時に発生する室内工事を、短期間で行う」

 「空室対策リノベーション: 空室に悩むオーナーに、賃借人が着きやすくなるリノベーションを提案し実施する。賃料アップも視野に入れた提案となる」

 「ハウスクリーニング: エアコンの高圧洗浄は無論、賃借人が退去した後のあらゆる室内クリーニングを行う」

 ニッチでリッチとしたが、業績動向にもそれは見て取れる 。

 2022年7月期は、期中の上方修正を挟み「25.7%増収、39.3%営業増益、34.1%最終増益」で着地。そして今7月期も「6.6%の増収(37億5400万円)、12.0%の営業減益(1億9300万円)、9.9%の最終減益(1億2000万円)」と慎重に立ち上がった。だが3月16日に期初予想に対する中間期収益実績を、「売上高を17億4300万円から19億4700万円(前年同期26.5%増)、営業利益を7700万円から9400万円(18.9%増)、純益を4800万円から5500万円(12.2%増)」と発表。

 「リノベーション工事を予測より多く受注した結果」とし、通期予想に関しては「現時点では据え置くが、今後の動向を踏まえ・・・」とお茶を濁した。

 ちなみに前7月期末のROEは11.6%、今期予想は11.0%。

 ニッソウの強みは、30年以上に亘り不動産リフォーム市場に特化し、約2000社の不動産企業との取引実績の強みや、年間扱い件数1万件の積み重ね。そして(中小)不動産から得るロイヤリティ5~7%というモデレイトな実態。また納期短期の仕事が主で、採算から大手企業が参入しづらい点などに求められる。

 培ったノウハウを活かし「全国各地の施工ネットワーク店を展開、各地の有力工務店とタッグを組み、双方WINN-WINの関係を構築・・・」と、全国展開を表明している点に興味を覚える。更には今夏から既存事業で得たノウハウとネットワークを活用し、「リゾートホテル物件の売買・仲介」乗り出すために日本リゾートバンクを子会社化している。

 時価は2300円台後半。上場(20年7月)初値から昨年11月の1411円までIPO人気を整理し、地相場入りしたばかり。まあ、様子見か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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