ミアヘルサHDは、上場直後の「修正中計」を積算通りにクリアできるか!?

2023年6月16日 08:26

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 上場間もない東証市場の中堅中小企業を中長期スタンスでフォローするのも、株式投資の一法ではないだろうか。

【こちらも】ミアヘルサHD、保育園の収益性向上や介護事業の利用者増加・回復を推進 通期業績予想達成を目指す

 例えば、2021年10月に東証スタンダード市場に上場したミアヘルサホールディングス(以下、ミアヘルサHD)。調剤薬局・保育園・介護施設展開が事業の3本柱。それぞれの事業の歴史は長い。

 1966年に保育園事業の礎とも言える「給食普及会」を設立し、小中学校向け給食食材の卸し業を開始。1984年に「くすりの日生薬局(駒込店)」を開設。そして介護保険法施行の前年:1999年に、居宅介護支援事業・福祉用具サービスで介護業界に進出した。

 速やかな上場を果たすために、いわゆるテクニカル上場を活用したが今24年3月期は早々の中計の最終年度。かつ3カ年の中計を上場後に、修正している。「売上高200億円、営業利益6億4000万円」を、「売上高243億5200万円、営業利益6億2800万円」にである。その修正の積算根拠が微に入り細にいっている。

 売上高の増額要因は、ライフサポート(保育園運営)の子会社化に伴う41億円上乗せが主因。営業利益は保育園事業で2億1000万円の上乗せの一方で、介護事業を2億5000万円減額。若干の下方修正。

 介護事業に関してはコロナ禍の収束期の見極めを慎重にした結果であり、ホスピス(終末期対応施設)対応施設の展開開始で保守的な見立てをしている。

 要は公開後初の中計をクリアできるか否かは、市場の評価を考えた時にポイントになる。注目せざるをえない。

 前23年3月期の「14.0%増収(222億4900万円)、2.5%営業増益(1億9100万円)」の内容を読み込むと、こんな具合。

★医薬事業: 1店舗を出店、計42店舗。新規出店効果で売上高7.7%増も、セグメント利益は5.0%減。薬価改定(引き下げ)による処方箋単価の低下、新規開設の大型病院の受け入れ態勢整備の遅れによるコスト増が影響した。

★介護事業: 1訪問介護事業所の開設、1訪問介護事業所及び1デイサービス事業所の閉鎖。期末の介護事業所・施設数は67。コロナの影響から立ち直りは遅々。1.0%の増収、セグメント損失1億4700万円。

★保育事業: 認可保育園3園、学童クラブ1カ所を開設。公立保育園1園の運営を開始。期末の運営事業所は74。38.4%増収、48.5%セグメント利益増。

 ミアヘルサHDでは前期以降の投資計画に関し、「調剤薬局を年間2店舗ペース、介護施設は今年8月のホスピス施設を、保育園は1-2園ペースで」と拡充の姿勢を示している。

 そうした前向きな方向性に評価の目を向けさせるためにも、中計達成は不可欠な条件といえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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