日経平均は小反発、米CPI鈍化も円高が重し

2023年5月11日 15:33

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記事提供元:フィスコ

*15:33JST 日経平均は小反発、米CPI鈍化も円高が重し
日経平均は小反発。10日の米株式市場でダウ平均は30.48ドル安と小幅に3日続落。4月消費者物価指数(CPI)でインフレの鈍化基調が確認されたことが好感された。ただ鈍化ペースは依然遅く、根強い景気後退懸念もくすぶり、ダウ平均は下落に転じた。一方、金利低下に伴うハイテクの買いでナスダック総合指数は+1.04%と反発。ダウ平均の下落や為替の円高を受けて日経平均は11円安からスタート。序盤は売りが先行し、早い時間帯に29028円(93円安)まで下げ幅を広げた。一方、ハイテクの一角に買いが入ったことで心理的な節目の近くからは買い戻しが優勢となり、下げ止まった。為替の円高が一服するなか、後場は戻りを試す展開となり、日経平均は上昇に転じた。その後は今晩の米4月卸売物価指数(PPI)の発表を控える中、前日終値を挟んだ一進一退が続いた。

 大引けの日経平均は前日比4.54円高の29126.72円となった。東証プライム市場の売買高は13億148万株、売買代金は2兆9627億円だった。セクターでは石油・石炭製品、鉱業、サービスが上昇率上位に並んだ一方、非鉄金属、海運、倉庫・運輸が下落率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の40%、対して値下がり銘柄は56%だった。

 個別では、為替の円高が重しとなり、前日に決算を発表したトヨタ自<7203>をはじめ、ホンダ<7267>、マツダ<7261>など自動車が軒並み下落。前日に決算が失望されて急落した日本製鉄<5401>は反発したが、JFE<5411>、神戸製鋼所<5406>などその他の鉄鋼株は軟調。郵船<9101>、川崎汽船<9107>の海運、三菱重工業<7011>、川崎重工業<7012>、IHI<7013>の重厚長大産業など景気敏感株は総じて低調だった。

 決算を受けて住友鉱<5713>、日本ケミコン<6997>、メイコー<6787>、メック<4971>などが大きく下落し、第1四半期大幅減益となったセレス<3696>は急落。協和キリン<4151>は新薬の開発中止に伴う業績予想の下方修正が失望されて大幅安。後場に決算を発表したところでは減配計画が嫌気された西松建設<1820>、帝人<3401>、2ケタ減益計画を発表した大林組<1802>、前期赤字幅の拡大と市場予想を下回る今期見通しを示した住友大阪セメント<5232>が大きく下落した。

 一方、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の上昇を受けて東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>が買われ、日東電工<6988>、新光電工<6967>、三井ハイテック<6966>などハイテク関連の一角も高い。決算など業績関連のリリースを受けてOATアグリオ<4979>、じげん<3679>、ミツバ<7280>がストップ高となり、オカムラ<7994>、イーグル工業<6486>、メンバーズ<2130>、Uアローズ<7606>、シュッピン<3179>、オエノンHD<2533>、SREHD<2980>なども2ケタ台の上昇。第1四半期好決算を受けてサンアスタリスク<4053>、セグエ<3968>はストップ高比例配分となった。主力どころでは富士フイルム<4901>、パナHD<6752>、ヤマトHD<9064>、東急不HD<3289>などが決算を材料に買われた。今期大幅増益見通しを発表した三菱製紙<3864>は後場に急伸した。《YN》

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