為替週間見通し:下げ渋りか、米インフレ緩和期待も円売り継続へ

2023年4月15日 14:30

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記事提供元:フィスコ

*14:30JST 為替週間見通し:下げ渋りか、米インフレ緩和期待も円売り継続へ

【今週の概況】
■米追加利上げ予想でドル買い強まる

今週のドル・円は強含み。有力な米金融当局者の一人であるNY連銀のウィリアムズ総裁は4月11日、金融不安と利上げの関連性を否定し、「年内あと1回の利上げが妥当」との見方を伝えたこと、イエレン米財務長官は「アメリカ経済は並外れて強く、景気停滞を回避する」と指摘したことを受けて、週初の131円83銭から12日にかけて134円05銭までドル高円安に振れる場面があった。ただ、3月の消費者物価指数は市場予想を下回り、将来的な利下げの可能性が浮上したことから、ドル買い・円売りはやや縮小し、13日の取引で132円05銭まで弱含みとなった。

14日のニューヨーク外為市場でドル・円は、132円20銭まで下落後、133円84銭まで反発した。この日発表された3月小売売上高は市場予想を下回ったが、その後に発表された4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値や1年期待インフレ率速報値は市場予想を上回っており、5月追加利上げ観測が強まり、ドル買い・円売りが優勢となった。ドル・円は、133円79銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:131円83銭-134円05銭。

【来週の見通し】
■下げ渋りか、米インフレ緩和期待も円売り継続へ

来週のドル・円は下げ渋りか。4月12日に発表された3月米消費者物価指数(CPI)はコア指数が前回から横ばいとなったものの、総合は予想以上に伸びが鈍化。13日発表の3月生産者物価指数(PPI)も市場予想を下回っており、インフレは鎮静化しつつあり、FRBの引き締め方針を弱める材料になる。また、これから本格化する企業決算も注目される。3月にシリコンバレー銀行をはじめ複数の中堅行が経営破たんに陥り、1-3月期は業績悪化が見込まれる。想定を超える落ち込みなら利上げ休止の見方が再浮上し、ドルの下押し要因になりやすい。

一方、日本銀行は新体制発足後も現行の金融緩和政策を当面堅持する見通し。植田新総裁は4月10日の就任記者会見でイールドカーブコントロール(YCC)やマイナス金利を維持し、緩和政策を当面継続する方針を示した。日米金利差拡大が想定されることから、ドル・円は下げづらい。日銀による金融緩和策の早期修正を想定したドル売り・円買いは縮小しつつあり、短期的にはポジション調整的なドル買い・円売りが増える可能性がある。

【米・4月フィラデルフィア連銀景況指数】(20日発表予定)
20日発表の4月フィラデルフィア連銀景況指数(製造業景況指数)は-19.0と、前月の-23.2から小幅な改善が予想される。ただ、大幅なマイナス状態は続くとみられ、製造業の低迷を嫌気した金利安・ドル安の要因になりやすい。

【米・S&Pグローバル4月製造業PMI】(21日発表予定)
21日発表の4月S&PグローバルPMI製造業は49.2と予想されている。連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め方針後退への思惑から、金利安・ドル安の手がかりとなりそうだ。

予想レンジ:132円00銭-135円50銭《FA》

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