IoT装備の投資用マンション開発:タスキの野望

2023年1月9日 16:52

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2022年5月から提供を開始した、SaaS型土地仕入管理サービス「TASUKI TECH LAND」(画像: タスキの発表資料より)

2022年5月から提供を開始した、SaaS型土地仕入管理サービス「TASUKI TECH LAND」(画像: タスキの発表資料より)[写真拡大]

 タスキ(東証グロース)。東京都23区を中心にIoT機能に優れる投資用賃貸マンションの企画・開発を展開している。2020年10月上場。マンション市場そして賃料動向の今後を占う上で興味深い存在と言える。

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 ニッセイ基礎研究所では冊子版レポート昨年12月号は首都圏のマンション市場について、以下の様な現状・見方を発信している。

 「7-9月期:マンションの新規発売戸数は前年同期比▲4.0%の5466戸。9月の平均価格1.0%上昇6653万円。価格が上昇基調で推移する中、販売戸数は減少している。中古マンションの成約件数は▲4.0%減の8440件。9月の平均価格は10.9%増の4421万円。28カ月連続で上昇。成約件数が伸び悩む中、在庫戸数が増加しつつあり価格の上昇に実需が追い付いていない状況にある」。

 「23区内の賃貸マンションの賃料は、コロナ禍で需要が高まったファミリータイプの上昇が目立つほか、シングルタイプでは底打ち感が見られる。三井住友トラスト基礎研究所・アットホームでは、第2四半期は前年比でシングルが0.5%、コンパクトタイプが▲1.5%、ファミリータイプが7.0%の上昇」としている。

 タスキの現状の収益動向は、22年9月期の「売上高122億7600万円、営業利益17億1400万円、純益10億8800万円」に対し、今9月期は「30.3%増収(160億円)、23.7%営業増益(21億2000万円)、21.3%最終増益(13億2000万円)、連続増配」計画。

 株価も好評価している。時価は1000円トビ台。予想税引き後配当利回り3%余は魅力を感じる。

 言葉を選ばずに言えば、「野望を抱く」企業である。「TAsuki TECH」を前面に押し出している。IR担当者は活用法を、こう語った。

 「当社が開発したSaaS型マルチプラットフォーム。オープンにしているので不動産会社のDX推進に役立ててもらいたい。例えばスマホで地図をタッチすると不動産価値が瞬時に見え、建築プラン・事業収支が作成できる。バーチャルプランやクラウドファンディングにも使える」。

 野望と記したのは、中小不動産企業融資を始めた。狙いは「タスキテックの活用企業」を拡充し、「優良中堅・中小企業」のM&Aも視野に入れているという指摘がある。「中古物件の買取り再生事業も視野」と聞くと、「指摘は的外れとは言えない」と捉える。

 不動産テックの積極投資を進めつつ、収益の積み上げを図っている。ウォッチしたい企業と言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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