花王、女性が心身の悩み投稿できるメディア開始 データ解析で新商品開発

2022年12月5日 17:41

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 花王は2日、女性特有の心身不調や悩みが投稿できる独自のソーシャル・メディア「フェムケア エピソードバンク」の運用をはじめた。収集したエピソードをAIで分析し、今後の研究や商品開発につなげる。

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 奈良先端科学技術大学院大学・先端科学技術科の研究室が開発したソーシャルメディア、「エピソードバンク」を応用して使う。生理用品ブランド「ロリエ」もサポーターとして参加する。

 フェムケア エピソードバンクは、更年期など女性の健康課題に関して自由に投稿できるメディアとする。投稿者や閲覧者で情報を共有できる。自身の課題への理解を深めたり、当事者以外も投稿を閲覧することで、女性の不調が理解できるようにする。

 エピソードバンクで投稿内容を言語処理し集約。課題や需要の分析に活用する。情報は、奈良先端科学技術大学院大学と共同で、「心身の困りごとや工夫」に関する研究へと役立てる。また、新たな商品やサービスの開発にもつなげる。

 近年、女性の社会進出を推進する機運が高まっている一方で、女性の健康に関する知識不足や偏見が課題となっている。花王はフェムケアに関する生活研究を行っており、その中で女性が身体的・精神的な課題に高い関心を持っていると確認。健康に関する体験談を共有できるメディアの運営を決めた。

 花王グループはSDG戦略「キレイライフスタイルプラン」を策定している。フェムケア エピソードバンクは、その中の重点テーマ「QOLの向上」に寄与すると位置付けている。

 尚、今回用いるエピソードバンクは、2020年10月にキャンサー・ソリューションズも活用している。乳がん体験者の経験や知恵をエピソードとして投稿するもので、名称は「ABCエピソードバンク」。利用者はエピソードの共有で乳がんに関する理解を深めたり、孤独感を解消したりすることができる。

 自由に書かれた体験談の中から、言語処理技術でキーワードを解析。求める内容に近いエピソードを提供できるようにしているのが特徴だ。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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