コロナ破たん、初の2カ月連続200件超 政府補助は縮小へ 東京商工リサーチ

2022年10月29日 18:57

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 東京商工リサーチは28日、新型コロナウイルスの影響で10月に破たんした国内事業者数が、同日時点で201件(負債1,000万円以上)に達したと発表。9月に206件を記録しており、初となる2カ月連続での200件超えとなった。コロナ破たんの増勢が止まらない中、政府は雇用調整助成金の特例措置を来年1月末に終了すると発表。冬に向け感染者数も増えており、中小事業者の苦しさが増す。

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 東京都のコロナ新規感染者数は28日、3,520人となり、前の週の同じ曜日を6日連続で上回った。全国の感染者数も同様に増加傾向が見られ、北海道、東京、大阪、神奈川だけで1万2,000人を超えた。冬に向けて再び増えるとの見方が現実味を帯びている。

 ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、日本時間29日午前11時時点における累計感染者数は世界全体で6億2,974万人超。国別では、米国が最多の9,742万人超、次いでインドが4,464万人、フランスが3,696万人、ドイツが3,552万人。欧州で感染者が増える中、ドイツがブラジルを超えた。直近4週間の新規感染者数では、日本は今年の夏以降しばらく世界最多だったが、足もとでは6位に下がった。

 厚生労働省は28日、雇用調整金について、新型コロナウイルスの感染拡大を受け導入した特例措置を2023年1月末に終了することを発表。支給額上限を一時的に1万5,000円としていたが、10月より段階的に引き下げており、終了後は通常の8,355円となる。

 人手が不足する産業や成長余地の大きい業界への労働移転を促すための措置として有効との見方が強い一方、一部事業者においては実質的な人件費負担を受け入れるかレイオフを進めるかの厳しい判断が避けられない。

 かかる状況下、東京商工リサーチの調査によれば、新型コロナウイルスに関連する10月の経営破たん事業者数が既に201件に達し、過去3番目に多かった9月と同程度のペースで推移している。コロナ発生以降の累計件数は4,585件(負債1,000万円未満を含む)となった。

 破たん企業(負債1,000万円以上)が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで4万1,118人となった。従業員50人以上の破たんが増えており、2021年は年間で32件だったところ、2022年は7月以降の約4カ月間で23件が確認されている。

 インバウンドの増加や旅行支援などコロナで影響を受けた業界は売上を急速に回復させつつある。一方、コロナ禍で膨らんだ債務の返済や、資源、物価、運送費などを中心とした物価高の影響から、中小事業者の資金繰りは引き続き厳しい。コロナ感染者は足もと増加傾向にあるものの雇用調整助成金の特例措置は終了が決まり、破たん件数の更なる増加が懸念される。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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