日経平均は続落、重要指標の発表控えてこう着感の強い展開/ランチタイムコメント

2022年10月12日 12:10

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記事提供元:フィスコ

*12:10JST 日経平均は続落、重要指標の発表控えてこう着感の強い展開
 日経平均は続落。37.00円安の26364.25円(出来高概算5億7431万株)で前場の取引を終えている。

 前日11日の米株式市場のNYダウは36.31ドル高(+0.12%)と反発。長期金利が高水準付近に近づき警戒感から売りが先行。その後、NY連銀の9月1年期待インフレ率の低下で大幅利上げ観測が緩和した。ただ、英中銀のベイリー総裁が市場機能回復のために実施していた緊急国債購入を計画通り今週で終了することを表明すると金融市場混乱への警戒感に伴う売りが再燃した。ナスダックは大幅に続落、引けにかけて売りが強まった米株市場を受けて、日経平均は前日比48.03円安の26353.22円と続落してスタート。その後は、前日終値付近でのもみ合い展開となった。

 個別では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>、アドバンテ<6857>などの一部の半導体関連株が大幅下落、日本郵船<9101>や川崎汽船<9107>、商船三井<9104>などの海運株も軟調に推移。ソニーG<6758>やメルカリ<4385>、任天堂<7974>などのグロース株、レノバ<9519>やHOYA<7741>なども下落した。ほか、業績予想の下方修正を発表したライフコーポレーション<8194>、上期業績予想の上方修正発表も材料出尽くし感から売られたコーエーテクモ<3635>などが急落、進和<7607>、リズム<7769>、リソー教育<4714>などが東証プライム市場の値下がり率上位に顔を出した。

 一方、引き続き水際対策の緩和を好感されてANA<9202>やJAL<9201>などの空運株が堅調に推移、JR東<9020>やJR東海<9022>なども上昇した。トヨタ自<7203>やファーストリテ<9983>などの大型株の一角も上昇。ほか、全国旅行支援やイベント割が好感されたオリエンタルランド<4661>、今期2ケタ増益・増配見通しを好感されたマニー<7730>、収益・配当予想上方修正で利回り妙味強まったディア・ライフ<3245>などが大幅に上昇した。オーバル<7727>、ネクシィーズグループ<4346>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。

 セクターでは鉱業、石油・石炭、電気・ガスが下落率上位となった一方、空運、陸運、小売が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の40%、対して値下がり銘柄は56%となっている。

 本日の日経平均株価は、続落してスタートした後前日終値付近でのもみ合い展開となっている。米株式市場でダウ平均は小幅に上昇したものの、ナスダック総合指数が1%台、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が2%台の下落となったことが東京市場でハイテク株や半導体関連株の重しとなった。自律反発の買いから一時プラス圏に浮上するも、今晩米国で発表される9月の米卸売物価指数(PPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月20-21日開催分)、明晩発表予定の9月の米消費者物価指数(CPI)などを見極めたいとして買いは続かなかった。そのほか、アジア市況や米株先物は軟調に推移している。

 新興市場でも売り優勢の展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後下げ幅を縮小する動きを見せた。日経平均同様プラス圏に浮上する場面もあったが、米長期金利が3.9%台まで上昇したことが投資家心理を悪化させており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株の重しに。重要指標の発表を前に買い進む動きも乏しく前引けにかけて下げ幅を拡げる展開となった。前引け時点で東証マザーズ指数が0.99%安、東証グロース市場Core指数が1.47%安。

 さて、米9月雇用統計では結果的に失業率が想定外に大きく低下したことで依然として労働市場の逼迫が継続していることが確認された。本日発表される米9月PPIは市場予想が前年同月比7.3%増、前月比0.2%増となっている。また、多くのFRB高官から利下げ転換期待を打ち消すタカ派な発言が相次いでおり、PPIの結果もさることながらFOMC議事録の内容にも注目が集まる。

 翌13日には米9月消費者物価指数(CPI)の結果が発表される。市場予想は、「総合」で前年同月比8.1%上昇と小幅に伸び鈍化を予測、「コア」では同6.5%上昇で前月と比較すると加速が見込まれている。前年同月比での伸びが前月の8.3%上昇を上回ると株式市場にとっては大きな問題になると、JPモルガン・チェースのトレーディングデスクは指摘している。つまり、インフレ率の鈍化が確認されなければ市場にとってはネガティブ材料となる。

 景気後退入りリスクも忘れてはいけない。ブルームバーグでは、ドイツの金融サービス会社アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は「米経済はより良い目的地に向かう浮き沈みの多い旅」の途中だとの認識を示したうえで、「完全に回避できたダメージの大きいリセッション(景気後退)の可能性が非常に高いのではないかと恐れている」と報じている。また、ヘッジファンド運営会社チューダー・インベストメントの創業者でCEOのポール・チューダー・ジョーンズ氏も「米国経済がリセッション(景気後退)入りすると想定している」と語っている。

 さらに、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、米経済および世界経済が来年半ばまでにリセッションに陥る可能性が高いとの見方をCNBCとのインタビューで示したという。また、S&P500については「一段の下落余地があるかもしれない」とし、「さらに20%」下げる可能性があると語っているようだ。

 来年以降、上述のように景気後退を受けてさらに「20%」下げる可能性があると、ナスダック100指数で8000pt台まで下落する可能性がある。前日の当欄で示唆したように様々なリスクが散見されるなか、現段階で筆者は年末にかけて一旦の反発が起こる可能性も考えながら来年以降大きく下落する可能性があることを念頭に置いて引き続き相場を注視している。後場の日経平均は、重要イベントを控えて様子見ムードが続くか。米株先物の動向を横目にこう着感が強まる展開を想定しておきたい。《AK》

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