太陽系には誕生前に発生した超新星爆発の残骸が30%も存在 独マックスプランク協会ら

2022年8月4日 08:04

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超新星爆発のイメージ。

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 地球上には様々な元素が存在しているが、鉄よりも質量数の大きな元素は全て、太陽系が誕生する前に輝いていた恒星が超新星爆発を起こした際に生成されたものである。したがって、それらは太陽系が誕生する前から存在していたことは明らかだ。だが、重元素以外の太陽系内に存在するダスト粒子にも、超新星爆発で飛散した星間ガスに由来するもの(このような存在をプレソーラー粒子と言う)が現存することが、1987年に明らかにされた。

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 これまで太陽系でプレソーラー粒子が占める割合はごくわずかと考えられてきた。だが独マックスプランク協会などの研究によると、プレソーラー粒子の割合は、30%程度にも上る可能性があることが示された。研究の詳細は、8月1日にネイチャーアストロノミーで公開されている。

 研究によると、プレソーラー粒子は、太陽系で形成された分子と比べると同位体の構成比が異なっているだけでなく、銀河系におけるそれとも異なる傾向を示すと言う。また同位体の構成比はその分子が形成された星に特有のもので、その構成比を詳しく調べることによって、それがもたらされた恒星がどんな星であったかを推測可能としている。

 太陽が誕生するきっかけは、50億年以上前に、銀河系に矮小銀河が衝突したことだと考えられているが、その矮小銀河で輝いていた恒星の特徴が、プレソーラー粒子の研究によって明らかにされる日も近いことだろう。非常に大雑把な話で恐縮だが、現在の太陽系を構成する物質は銀河系由来のものが70%で、銀河系に衝突した矮小銀河由来のものが30%であると言えるのかもしれない。

 2020年には、1969年にオーストラリアで発見されたマーチソン隕石が、地球が誕生した46億年前よりも古い50億年ないし70億年前に星間塵によって形成されたものであることが、明らかになっている。それは太陽や地球よりも昔からこの宇宙に存在していて、様々な歴史が刻み込まれている。人類が誕生するよりもはるかに昔のことが推測できる人類の科学力はたいしたものだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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