ケンコーマヨネーズは戻り試す、23年3月期予想未定だが収益回復基調

2022年7月19日 13:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東証プライム)はマヨネーズ・ドレッシング分野からタマゴ加工品やサラダ・総菜分野へと事業領域を拡大している。さらに持続的成長に向けて4つのテーマ(BtoBtoC、イノベーション、構造改革、グローバル)に取り組んでいる。23年3月期連結業績・配当予想は経済情勢や原材料価格の不透明感が強いため未定としている。ただし外食向けの需要回復、販売価格の改定、生産効率の改善、全社的な経費削減への取り組みなどで収益回復基調だろう。株価は小動きだが徐々に下値を切り上げている。基調転換を確認した形であり、低PBRも評価して戻りを試す展開を期待したい。なお8月10日に23年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手

 サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)およびグループ内生産受託の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。ロングライフサラダは市場シェア国内1位である。

 ショップ事業のサラダ専門店Salad Cafe(サラダカフェ)は、対面の量り売りサラダや弁当の販売を展開し、新たなブランド創出に向けて百貨店など駅近店舗戦略を推進している。7月11日には子会社のサラダカフェが、ファミリーマートより発売(7月12日)される「ケイジャンチキンと12品目のサラダ」を監修したと発表している。Salad Cafe監修シリーズ第12弾となる。

 22年3月期の売上高構成比は、調味料・加工食品事業が76%(マヨネーズ・ドレッシング類が26%、タマゴ加工品が26%、サラダ・総菜類が23%、その他が1%)で、総菜関連事業が23%、その他が1%だった。セグメント利益(調整前経常利益)は調味料・加工食品事業が67%、総菜関連事業が35%、その他が▲2%だった。販路別売上高構成比は量販店が29%、CVSが26%、外食が25%、パンが13%、給食が4%、その他が4%だった。22年3月期はコロナ禍の影響で量販店向けが上昇、CVS向けが低下、外食向けが回復傾向となった。

 収益面では、食用油、鶏卵、野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。

■事業環境変化に対応して変革推進

 中期経営計画KENKO Transformation Plan(21年度~23年度)では、目標数値に24年3月期売上高800億円、経常利益40億円を掲げ、基本方針として4つのテーマ(BtoBtoC、イノベーション、構造改革、グローバル)およびサステナビリティ方針に取り組んでいる。事業環境変化に対応し、企業価値向上と持続的な成長へ向けた変革を推進する。

 BtoBtoCでは、デザイン変更や簡便性・調理時間短縮など利便性を高めた商品開発による消費者へのブランド認知度向上、新しい生活様式やライフスタイル多様化に対応した小容量・常温商品の拡充・リニューアル、原材料価格高騰に対応した高付加価値・機能性商品の開発強化、ドラッグストアや大手スーパーなど取り扱い店舗増加によるマーケティング強化、WEB・オンライン動画や料理教室の活用による情報発信・販促活動の強化、自社ECサイトによる販売強化、サラダカフェのブランド創出・駅近店舗戦略などを推進している。

 イノベーションでは、賞味期限延長や植物性原料を中心に仕上げたプラントベース商品などSDGsを意識したメニュー・商品の開発、食品ロスの削減、地方創生・活性化につながる郷土料理の商品化や持続可能な農業支援、包装・資材の最適化、生産面でのカーボンニュートラルの実現、構造改革では業務プロセスや生産効率の改善、働きやすい職場環境づくり、人事制度改革、基幹システム再構築、コーポレート・ガバナンスの強化、グローバルでは輸出販売の強化、グローバル対応商品や輸出用長期賞味商品の拡充などを推進している。

 サステナビリティへの取り組みも強化している。21年7月に「食を通じて世の中に貢献する」という企業理念に基づいてサステナビリティ方針を公開し、加工ロス削減による廃棄物削減などの目標を設定した。さらに21年9月には「国連食料システムサミット2021」への支持表明とコミットメント提出を発表した。21年10月には静岡富士山工場が障害者雇用優良事業所として静岡県知事褒賞を受賞した。

 地方創生に向けた活動も開始している。22年3月には、鮮魚販売や水産食料品製造販売を行う鮮冷(宮城県女川町)、およびコンサルティング業務を行うくりや(北海道上川郡)と、地方創生に向けた活動を協働していくことで合意した。地域の食材を活かした商品・メニュー開発、食を通じた地域経済活性化など地域密着型の取り組みを推進する。そして22年4月には、第1弾として共同開発した海鮮丼3品を道の駅「おながわ」で発売開始した。

■23年3月期業績・配当予想未定だが収益回復基調

 23年3月期の連結業績・配当予想は、経済情勢、食用油をはじめとした原材料価格の動向、さらにエネルギーコストの動向などについて不透明感が強いため、未定としている。ただし外食向けの需要回復、販売価格の改定、生産効率の改善、全社的な経費削減への取り組みなどで収益回復基調だろう。なお7月8日には、22年10月1日出荷分より、商品価格を改定(約1400品、改定率約1~30%)すると発表している。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は戻り試す

 株価は小動きだが徐々に下値を切り上げている。週足チャートで見ると52週移動平均線を突破して基調転換を確認した形であり、低PBRも評価して戻りを試す展開を期待したい。7月15日の終値は1462円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2245円07銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約241億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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