止まらない円安! 130円突破も視野に

2022年4月22日 16:39

印刷

●約20年ぶりの水準

 3月の外国為替市場で、ドル円相場は1米ドル=125円まで急落し、約6年7カ月ぶりの円安となった。黒田ラインの125円が意識されると見られていたが、あっさりと突破。4月20日には2002年4月以来の129.4円まで下落した。

【こちらも】1ドル=125円!さらなる円安はあるのか?

 米国は利上げを加速し、日銀は金融緩和を続ける中で、円安・ドル高は避けられない。急激な円安にはいずれ歯止めがかかりそうではあるが、一体どこまで進むのか?

●気になる今後のスケジュール

 ロイター通信によると、4月21日に行われた日米財務相会合では、急激な円安について議題に上がったようだが、具体的な言及はなく、意思疎通を図るという表現に留まった。

 国内では28日の日銀金融政策決定会合が注目される。ここで黒田総裁から何らかのけん制発言があると思われるが、どこまで影響力があるのか?

 5月6日にはFOMC(米国連邦公開市場委員会)が行われ、0.5%の利上げが予想されている。6月にも利上げが予想され、さらなるドル高傾向の要素となる。

●130円突破も目前か

 ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井会長が、円安にメリットはないと発言するなど、経済界からは円安へ苦言を呈する声が大きい。

 政府関係者や黒田総裁からもけん制に近い発言が出ていても、一時的な効果しかなく、焼け石に水となっている。米国の利上げに対抗する手段は日本には限られている。

 日米の金利差に加え、貿易赤字国となった今、円安傾向になりやすい。実質実効為替レートの低下も著しい。かつては円安は日本企業にメリットがあり、株価も上がりやすいと言われていたが、その効果も薄れている。

 日本ができることは金融緩和の終了や利上げとなるが、今のところその様子はない。為替介入(円買い・ドル売り)もあり得るが、一時的な効果に終わる危険性もある。

 ただし、さすがにこの1カ月で10円以上も上がる事態は異常とも言える。

 現状では5月末までに130円を突破すると見られているが、強いけん制発言などの口先介入で一時的には大幅な円高となる可能性もある。ポジションの持ちすぎには注意が必要である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事