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木星の衛星エウロパ、特徴的地形がもたらす生命存在の可能性 スタンフォード大の研究
エウロパの表面にある二重の尾根の形成メカニズムイメージ図 (c) Justice Blaine Wainwright(スタンフォード大学の発表資料より)[写真拡大]
木星の衛星エウロパは、以前から科学者たちに地球外生命が存在する可能性がある有力候補の1つとして考えられてきた。生命が誕生するために必要な条件として、液体の水が存在していることがあげられる。エウロパはこの条件を満たしている可能性が高く、これまで注目を浴びてきた。スタンフォード大学の科学者らによるこの星の特徴的な地形形成メカニズムに関する研究論文が、4月19日にネイチャーコミュニケーションズで公開された。
【こちらも】エウロパの水蒸気噴出を捉えるミッション NASAジェット推進研究所
エウロパの特徴的な地形とは、2本の尾根が並行して形成された地形を指す。この地形は既に1990年代には探査機ガリレオによって存在が明らかにされていたが、なぜこのような地形が形成されたのかについては約20年の間謎のままであった。
エウロパではこの2本の尾根が数百キロメートルにわたって伸びている。実は最近これとよく似た地形が地球上(グリーンランド)で発見された。この研究では、グリーンランドの地形の分析によってエウロパで起きている現象の推定を試みている。
エウロパには、氷床の下に地下の海が存在していると考えられる。グリーンランドで発見された地形も構造が同じで、そこでは次のようなプロセスで2本の尾根が形成されていることを確認した。まず裂け目のない氷床の内部(地下の海)で圧力が蓄積され、それが氷床を突き破りまるで火山の噴火口のような形で開口する。次の段階では、開口した水の通り道の周りが凍結して開口部をさらに押し広げる。最後に押し広げられた開口部の頂上部分に到達した水が再度凍結して盛り上がり、2本の尾根を形成する。
エウロパでは、グリーンランドに見られる地形と同様のメカニズムにより、この開口部が線状に数百キロメートルにわたって形成されたと考えるという。もしこれが正しければ、エウロパにはかなり広大な地下の海が存在していることになる。この結論は生命誕生に大いに期待を持たせるものであり、今後の研究の進展に期待がかかる。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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