飲食店経営にDX化を導入しようとする、トレタの施策

2022年3月11日 07:55

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第三者割当増資の引受先となった5社(画像: トレタの発表資料より)

第三者割当増資の引受先となった5社(画像: トレタの発表資料より)[写真拡大]

 トレタから『総額20.3億円の資金調達完了のお知らせ』なるリリースが送られてきた。創業者で代表の中村仁氏が、12年間飲食店経営に携わったのちに2013年に立ち上げた企業である。「飲食店の現場では30年前とほぼ変わらないオペレーションが行われている。情報化が進んだいまでも、これほど手作業が多く残っている業界はない、と痛感したしたのが原点」と聞かされた。

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 目下、トレタでは顧客の予約/台帳向けサービスの開発・提供を行っている。飲食店向けDX化の先端を走っている企業といえる。

 そんなトレタが20億円強の資金を、凸版印刷をはじめとする5社を引受先とする第三者割当増資と金融機関1社からの融資で調達したという内容のリリースである。トレタでは資金調達の背景・目的をこう発信している。

◆背景: 新型コロナウイルス禍で発生された「緊急事態宣言」「まん延等防止措置」などに伴う休業要請・時短営業で、飲食店経営が窮地に晒されたことは周知の通り。が、外食業界ではPOSレジが開発され斯界に浸透し始めてからも、現場のオペレーションは人手に頼った労働集約型が続いてきた。しかしこうした労働集約型が限界を迎えようとする中で且つ着実に少子化が進捗する状況下で、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった。飲食店経営は否応なしに、効率化や生産性の向上が迫られる形になったと捉えるべきだ。

◆勘案: トレタではかねてよりこうした外食業界の問題を解決するためには、飲食店経営の構造を抜本的に見直し再構築する外食DXが不可欠と考えサービスの開発を進めてきた。だがコロナ禍を契機に一気に開発加速させ、アフター・ウィズコロナ時代に飲食店が外食DXに取り組みやすい状況を作ることが、外食産業への貢献を目指す当社の役割でもあると認識した。

◆目的: 調達した資金は飲食店向け店内モバイルオーダー「トレタO/X」、外食店の電話予約をAIで自動的に受け付ける「トレタ予約番」、飲食店の公式サイトから予約を最大化する「トレタB/X」をはじめとしたプロダクトの開発推進を加速する。そのためには人材採用の積極的な投資が不可欠。資金はそこに充当する。

 評価すべき手だて、と考える。コロナウイルス感染症拡大の中で飲食店は「持ち帰り」「宅配」「キッチンカー」等々、知恵を絞り対応してきた。が、表現は悪いかもしれないが「対症療法」。ウィズ・ポストコロナを見据えた時、飲食店のDX化(効率化)は不可欠だからである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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