朝日ラバーは22年3月期3Q累計営業・経常黒字転換、最終大幅増益、通期は再上振れ余地

2022年2月14日 11:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  朝日ラバー<5162>(JQ、新市場区分スタンダード)は2月10日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。前年比で自動車向けゴム製品の需要回復、卓球ラケット用ラバーの増加などで大幅増収となり、営業利益と経常利益が黒字転換、親会社株主帰属四半期純利益が大幅増益だった。通期予想を据え置いたが、原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁も進展しているもようであり、再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが、調整一巡して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■22年3月期3Q累計最終大幅増益、通期は再上振れ余地

 22年3月期第3四半期累計連結業績(収益認識会計基準適用だが利益への影響なし)は、売上高が前年同期比14.9%増の52億79百万円、営業利益が2億58百万円の黒字(前年同期は1億60百万円の赤字)、経常利益が2億63百万円の黒字(同97百万円の赤字)、そして親会社株主帰属四半期純利益が7.0倍の2億01百万円だった。収益認識会計基準適用の影響として、売上高と売上原価がそれぞれ56百万円減少したが、利益への影響はなかった。

 自動車向けゴム製品は半導体不足・部品調達難に伴う自動車減産の影響で鈍化傾向だが、累計ベースの前年比では需要回復で増収だった。さらに卓球ラケット用ラバーの増加も寄与して大幅増収となり、増収効果で営業利益と経常利益が黒字転換、親会社株主帰属四半期純利益が大幅増益だった。売上総利益率は6.6ポイント上昇して24.5%、販管費比率は1.8ポイント低下して19.6%となった。

 工業用ゴム事業は売上高が18.9%増の43億95百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が4億44百万円(同35百万円の赤字)だった。RFIDタグ用ゴム製品は経済環境や生産調整の影響で減収だが、ASA COLOR LEDなどの自動車向けゴム製品や卓球ラケット用ラバーの需要が増加した。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が1.6%減の8億84百万円、利益が44.8%減の64百万円だった。コロナ禍の影響でプレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の清算調整が継続した。

 中期事業分野別の売上高実績は、光学事業が19.8%増の23億76百万円、医療・ライフサイエンス事業が1.7%減の9億03百万円、機能事業が33.1%増の16億11百万円、通信事業が19.3%減の3億88百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が17億97百万円で営業利益が78百万円、第2四半期は売上高が18億35百万円で営業利益が98百万円、第3四半期は売上高が16億47百万円で営業利益が82百万円だった。

 通期連結業績予想(21年8月6日に上方修正)は据え置いて、売上高が21年3月期比11.8%増の72億52百万円、営業利益が3億21百万円(21年3月期は92百万円の赤字)、経常利益が3億11百万円(同18百万円)、親会社株主帰属当期純利益が2.1倍の2億36百万円としている。配当予想は10円増配の20円(期末一括)である。

 通期のセグメント別売上高の計画は工業用ゴム事業が14.1%増の60億90百万円、医療・衛生用ゴム事業は0.9%増の11億62百万円、中期事業分野別売上高の計画は光学事業が11.1%増の32億12百万円、医療・ライフサイエンス事業が2.0%減の11億82百万円、機能事業が29.1%増の22億71百万円、通信事業が7.1%減の5億86百万円としている。

 半導体・部品供給不足による自動車減産、原材料価格高騰などの不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は売上高が72.8%、営業利益が80.4%、経常利益が84.6%、親会社株主帰属当期純利益が85.2%と順調である。原材料価格高騰に伴う販売価格転嫁も進展しているもようであり、通期予想は再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが、調整一巡して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。2月10日の終値は580円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS52円02銭で算出)は約11倍、時価総額は約27億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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