クリーク・アンド・リバー社は上場来高値更新の展開、22年2月期は過去最高更新予想

2021年9月17日 08:41

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)は、クリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、プロフェッショナル50分野構想を掲げて事業領域拡大戦略を加速している。22年2月期はベース事業が2桁伸長して増収増益・過去最高更新予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は00年の上場時の高値を突破して上場来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお10月7日に22年2月期第2四半期決算発表を予定している。

■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開

 クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を主力としている。18のプロフェッショナル分野および9の周辺サービスで、約32万人のプロフェッショナルクリエイター、約4万社のクライアントをネットワークしていることが強みだ。

 新規エージェンシー事業としては建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術、リサーチャー(研究開発支援者)、CXO(CEO、CFO、CMOなど企業における業務や機能の最高責任者の総称)を展開している。

 新規サービスとしては、米国C&R Globalが法務領域コンサルティングサービス、プロフェッショナルメディアが求人メディア運営、VR Japanが中国IDEALENS社製VRゴーグル販売、台湾インツミット社と合弁のIdrasysがAI予測ツール「Forecasting Experience」の機能強化や販売拡大を推進している。クレイテックワークスはゲームコンテンツ開発・運営を展開し、インタラクティブブレインズの3DCGアバター事業、VR事業、コンテンツ開発事業を譲り受けた。またジェイアール東日本企画と共同でデータドリブンマーケティング事業を推進するJDDLを設立している。

 VR関連では法人向けVR・AR・MR関連サービスの導入実績が4000件を超え、がん治療の中核病院から遠隔医療への応用を見据えて手術の模様を遠隔地からリアルタイムに視聴する実証実験を受注している。ドローン関連(サイトテック社製YOROI)では、官公庁・民間企業での業務用途の活用が拡大している。21年6月にはセガとのゲーム著作物の利用に関する許諾契約を締結した。

 さらに5G時代のXR(VR・AR・MR)独自ソリューションや、VRアート作品などのNFT(非代替性トークン)への取り組みも開始している。

■日本クリエイティブ分野が拡大基調

 21年2月期のセグメント別(調整前)構成比は、売上高が日本クリエイティブ分野70%、韓国クリエイティブ分野9%、医療分野10%、会計・法曹分野5%、その他(IT分野のエージェンシー事業、新規事業など)6%、営業利益が日本クリエイティブ分野73%、韓国クリエイティブ分野▲2%、医療分野30%、会計・法曹分野4%、その他▲4%だった。

 韓国クリエイティブ分野は、TVマーケット関連事業を新設会社に承継してCREEK&RIVER ENTERTAINMENTを18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社としたが、20年1月9日付で株式を追加取得し、改めて連結子会社化した。またエコノミックインデックスは21年3月に株式を譲渡して連結から除外した。

 収益面では、医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調である。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。

■プロフェッショナル50分野構想

 中期経営計画では「プロフェッショナル50分野構想」を掲げ、目標数値を24年2月期売上高460億円、営業利益35億円、営業利益率7.6%としている。

 基本戦略としては、プロフェッショナル分野のさらなる拡大(プロフェッショナル50分野構想)、新規サービスの創出(プロフェッショナルの能力を活かす新たな価値の創造)、経営人材の創出、コーポレートガバナンスの強化を推進する。M&A・アライアンスも積極活用して事業領域拡大戦略を加速する方針だ。

 20年7月にはVR・Web関連のGruneを子会社化、NHKおよび関連会社の番組制作・編集部門へのスタッフ派遣などを展開するウイングを子会社化、20年10月にはコンサルティング事業のきづきアーキテクトを子会社化した。21年4月にはブロックチェーンエンターテインメント事業のDEA社(シンガポール)に出資した。

 なお東大発バイオベンチャーのCO2資源化研究所(UCDI)に出資(18年3月)し、水素と二酸化炭素から菌体を培養してBiofeeds(バイオフィーズ:飼料蛋白素材)やバイオ燃料の資源化を目指す研究開発に協力している。

 また21年8月には、EPSホールディングス<4282>、ワールドホールディングス<2429>、SBSホールディングス<2384>と共同で、エルダー人材の働き方の多様性を企画・実現する新会社HATARAKUエルダー(EPSホールディングスの連結子会社)を設立した。

■22年2月期は増収増益・過去最高更新予想

 22年2月期連結業績予想は、売上高が21年2月期比7.2%増の400億円、営業利益が16.4%増の28億50百万円、経常利益が14.7%増の28億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.2%増の17億50百万円としている。配当予想は1円増配の17年(期末一括)である。

 セグメント別の計画は、日本クリエイティブ分野の売上高が7%増の280億円で営業利益が12%増の20億円、韓国クリエイティブ分野の売上高が4%増の34億円で営業利益が20百万円の黒字(21年2月期は49百万円の赤字)、医療分野の売上高が7%増の42億円で営業利益が10%増の8億円、会計・法曹分野の売上高が5%増の21億円で営業利益が9%増の1億10百万円、その他の売上高が13%増の25億円で営業利益が50百万円の赤字(同1億04百万円の赤字)としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比11.7%増の105億99百万円、営業利益が17.3%増の12億30百万円、経常利益が17.3%増の12億47百万円、親会社株主帰属四半期純利益が24.1%増の8億81百万円だった。

 日本クリエイティブ分野や医療分野の好調が牽引し、新型コロナ影響(医学生向けイベントの開催中止、会計・法曹分野の人材紹介需要の減少など、売上高で1億20百万円、営業利益で30百万円のマイナス影響)や、成長投資を吸収して2桁増収増益だった。そして四半期ベースで過去最高と順調だった。

 日本クリエイティブ分野は14.2%増収で20.6%増益だった。ゲーム・プロデュース・ライツ分野が好調だった。医療分野は12.3%増収で17.2%増益だった。新型コロナ影響でレジナビFairの開催が困難な状況だったが、オンライン開催に切り替えて医師紹介が好調に推移した。新型コロナワクチン接種の医師・医療機関紹介も寄与した。会計・法曹分野は4.9%減収で72.2%減益だった。新型コロナ影響で人材紹介需要が減少した。その他は10.3%増収で赤字縮小した。9社のうち7社が増益だった。

 通期は日本クリエイティブ分野を中心にベース事業が2桁伸長して増収増益・最高更新予想としている。新型コロナ影響が不透明なため、やや保守的な計画としているようだが、第1四半期の進捗率は売上高26%、営業利益43%だった。医療分野は上期に偏重する季節特性がある点を考慮しても順調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。成長分野に対する積極的な投資を継続し、リアルとオンラインを組み合わせた営業体制確立やDX推進も加速する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上場来高値更新の展開

 株価は00年の上場時の高値を突破して上場来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月16日の終値は1877円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS78円51銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS455円87銭で算出)は約4.1倍、そして時価総額は約432億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【特集】「トリプル・ブルー」となった割安株、個人投資家の参戦余地は?(2021/02/01)
【編集長の視点】京阪神ビルは高値期日一巡を先取り業績上方修正・増配を買い直して反発(2021/03/16)
【小倉正男の経済コラム】米国はコロナ禍で起業ラッシュ、日本は?(2021/02/08)
朝日ラバーは調整一巡、22年3月期収益回復期待(2021/03/30)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事