【注目銘柄】中外薬は新型コロナ感染症の感染爆発で抗体カクテル療法を買い直し

2021年8月12日 07:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

中外製薬<4519>(東1)は、3連休明けの前日10日に75円高の4076円と反発して引けた。東京オリンピックが、8月8日に閉幕したが、その後も前日9日の東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が2884人、全国でも1万2056人と過去最高ペースの感染爆発に歯止めが掛かっておらず・・・。

中外製薬<4519>(東1)は、3連休明けの前日10日に75円高の4076円と反発して引けた。東京オリンピックが、8月8日に閉幕したが、その後も前日9日の東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が2884人、全国でも1万2056人と過去最高ペースの感染爆発に歯止めが掛かっておらず・・・。[写真拡大]

【日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部】

 中外製薬<4519>(東1)は11日、4119円まで上げて続伸している。東京オリンピックが、8月8日に閉幕したが、その後も前日9日の東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が2884人、全国でも1万2056人と過去最高ペースの感染爆発に歯止めが掛かっておらず、軽症・中等症の感染者の重症化リスクを7割削減する同社の「抗体カクテル療法」に期待する買い物が再燃している。投資アナマリーでも、同社の永山治名誉会長が、今年8月1日から日本経済新聞の『私の履歴書』欄に自伝を執筆しており、同履歴書に登場する会社は株高となることも、買い手掛かり材料となっている。

■重症化リスクを7割削減し国内向け供給でも合意

 「抗体カクテル療法」は、2つの異なる抗体医薬品を同時に投与してスパイクタンパク質に変異を持つコロナウイルスを防御し、重症化リスクを7割削減することが海外治験などから明らかになっている。同療法は、米国のリジェネロン社と同社の親会社ロシュが、製造・開発・販売を共同で実施し、中外薬は、昨年12月に国内での開発権と独占販売権を取得、今年3月から第1相試験を実施してきた。

 その後今年5月には、日本政府と同療法が薬事承認された場合は、国内への供給で合意し、7月19日には特例承認として薬事承認を取得しており、国の調達数は20万回分、うち2021年度は7万回分が確保されたと報道されている。新型コロナウイルス感染症の感染爆発に歯止めが掛からず、政府は、自宅療法を基本に変更した医療体制のうち、中等症感染者も入院と一部修正しており、重症化リスクを軽減する「抗体カクテル療法」への期待が高まるととみに需要増となることも想定される。

 業績も順調で、今2021年12月期は売り上げ8000億円(前期比1.7%増)、営業利益3200億円(同3.9%増)、純利益2194億3300万円(同5.7%増)と見込み、純利益は、連続して過去最高を更新する。配当は、年間60円と昨年7月1日を効力発生日とした株式分割(1株を3分割)を勘案して連続増配となる。なお「抗体カクテル療法」は、今期予想に織り込んでいないため業績上ぶれ期待も高い。

■調整一巡感も強め戻り高値奪回から分割落ち後高値目指す

 株価は、昨年12月の「抗体カクテル療法」の国内開発権・独占販売権取得で株式分割権利落ち後高値6435円まで買い進まれたが、その後は、同療法が点滴による投与となっていることでやや失望売りが先行、今年5月には分割権利落ち後安値3898円まで調整した。同安値からは欧州での新薬承認で4640円までリバウンドし、足元では「抗体カクテル療法」承認などをテコに4000円大台固めを続け調整一巡感も強めている。感染爆発のなか再人気化が期待され、今年6月の戻り高値4640円奪回から分割権利落ち後高値6435円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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