スペースマーケットの自社空間活用に覚える、「餅は餅屋」!

2021年8月6日 15:29

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スペースマーケット新オフィスにあるキッチン付ラウンジスペース(左)と個室ブース。(画像: スペースマーケットの発表資料より)

スペースマーケット新オフィスにあるキッチン付ラウンジスペース(左)と個室ブース。(画像: スペースマーケットの発表資料より)[写真拡大]

 餅は餅屋、ということか。イベントスペース・会議室・撮影スタジオ・映画館・住宅などなど多様なスペースを貸し借りできるWebプラットフォームを運営する(現在、総取扱件数1万2000件超)スペースマーケットが、東証マザーズ市場に上場したのは2019年12月。21年6月には本社を東京・新宿区から渋谷区に移転している。

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 上場後の事業拡大・人員増強に備えて、19年初めの頃から「本社スペース2倍」を前提に移転の検討がなされていたという。だが数カ月後、襲来したのが新型コロナウイルス禍だった。スペースマーケットも在宅勤制を導入した。結果、オフィスへの出社率は低下。これを契機に「スペース2倍の新本社移転」を、見直さざるを得なくなった。熟考。至った結論は、予定通りに新本社地に移転する。が・・・

 スペースマーケットの実態も20年以降、リモートワークが定着。チーム単位で出社する曜日を決め、平均出社率は約5割(フリーアドレス制を導入)。スペース貸し・仲介のプロが選択したのは、新本社の約半分のスペースをシェアリングスペースとして活用することだった。新本社のコンセプトは「自由自在」。

 創業者社長の重松大輔氏は「創業以来、実践したかったことのひとつ」としているというが、実際にどんな状況になっているのか。「見てきたが如く」書くと、こんな具合。

 オフィスのエントランスから入ると、キッチン付きラウンジスペースが広がる。そして個室タイプのワークブース、会議室が備わっている。ビジネスの武器:Webプラットフォームを活用、掲載し外部に貸し出す。「餅は餅屋」を痛感するのはラウンジやワークブース・会議室にとどまらない点。ビルの入り口からオフィスエントランスにまで続く、階段・エスカレーターも撮影用に貸し出す。

 コロナ収束後も「働き方改革⇔リモートワーク」という流れが定着していくことが前提になるが、本社スペースの維持には家賃負担等が重荷になる。それを解消するためにシェアリングは1つの方法。コロナ禍の中で大手企業も本社負担の軽減に諸々の施策を検討、実施していると伝えられている。

 昨今はやりの言葉を使えば「持続可能なオフィス運営の在り方」と捉えることもできる。単なるオフィススペースの圧縮ではなく、空き空間を活用し「負担軽減」を図るのは確かに一法。スペースマーケットでは「土日もシェアリングスペースとする」と本腰姿勢だとか。

 法人体制を辞め自営業として住処の1部屋を仕事場にして10数年が経つ。確かにかつて東京・池袋に構えていた「近場に飲食の場あり」「寝泊りも可能」なオフィスが本当に必要だったのかどうかいま「?」を覚えている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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