FXや株投資で債務整理となる若い世代が増加 ギャンブル的投資に注意を

2021年7月11日 07:42

印刷

 最近、若い世代ではFXや株式投資、先物取引に大金をつぎ込んで借金返済ができずに債務整理をするケースが目立っているという。その原因としては長期化する低金利政策がある。銀行預金での資産運用に、以前のようなうま味がなくなったことが大きいだろう。また老後資金が2000万円も必要との将来不安、なかなか好転しない不景気経済、最近はコロナ渦で収入が目減りしている人も多い。

【こちらも】老後資金2000万円の準備は? ローリスクで節税効果が高い個人年金保険を要確認

 そのような経済状況の中、少額資金で大金を得るチャンスがあるFXや株式投資、先物取引は魅力的な資産運用手段だ。ハイレバレッジを利用したトレードは、短期間で資金を倍増させるチャンスがある。

 FXの場合は、国内でも25倍までレバレッジを効かせたトレードが可能だ。わずか10万円の資金で250万円分のポジションが建てられるので、相場がほんの1%上昇しただけで2万5000円の利益が発生するのだ。ちなみに米ドル円のペアなら、1ドル110円から111円に変動するのに数日しかかからない。運が良ければ1日で10万円の資金が12万円になることもある。

 この高いギャンブル性が問題で、まるでロトくじでも購入するかのように、5万円・10万円を口座に入金し、レバレッジの限界で一発勝負する。当たれば資金が倍増し、外れれば資金はゼロ円になるといった乱暴なトレードをするトレーダーは少なくない。

 ただし、現代のFXも株式トレードも専用口座には強制ロスカットがついてることが多く、トレードの最中に追証(口座資金がマイナスになる状態)となるリスクは低い。事実、リーマンショックやコロナショックの時でさえ、この機能が自動的に働いて、追証の発生を大幅に回避したのだ。

 ロスカットについて詳しく説明すると、10万円の証拠金(口座内の資金)で25倍のレバレッジでポジションを立てて、価格が5%下落すれば10万円のマイナスとなり証拠金がゼロ円(*実際には取引手数料が発生する為マイナス口座になる)が、強制ロスカットがサービスされていれば、証拠金が50%や30%になった時点で強制的にポジション整理されて、実際には追証にはならないようになっている。

 このような投資スタイルで債務整理が必要となる理由は、クレジットカードや消費者金融からの借金が膨らんでしまうからだ。FXや株式トレードでは、勝った時の多額の収入や喜び・興奮を求めるあまり、金融機関から借金をしながら投資する怖さがある。仮に証拠金の数十万円を一瞬で失ったとしても、次の勝負で取り返せば問題なしと、クレジットカードでキャッシングして投資資金に回す若いトレーダーが増えているのだ。

 気が付けば数百万円の借金を抱え、返済が不可能となる人もいる。それで、最終手段として自己破産や任意整理といった法的解決方法に頼るしかなくなるのだ。

 ちなみにギャンブルで作った借金でも債務整理を利用することができるが、自己破産の場合は免責不許可事由によって管財事件になる可能性がある点に要注意だ。たとえ財産がない場合でも、費用が極めて安い同時廃止事件とはならず、多額の予納金を裁判所に納める管財事件で処理されるリスクがあるのだ。

 また、任意整理で金融機関と返済プランの見直しを申し込むこともできるが、この場合は利息分をカットし、返済回数を延長するぐらいしかできない。つまり元本はキッチリ返済することになる。

 なお、債務整理をすると、その後数年間は金融機関からの借金ができなくなることも知っておくべきだろう。いわゆるブラックリスト状態になって、クレジットカードもローンも消費者金融も利用できず、現金生活を余儀なくされるのだ。

 確かに投資による資産運用は有益な手段だ。しかし、行き過ぎたギャンブル的投資は身を滅ぼすリスクが高く、得てして借金まみれで生活を困窮させるものだ。つみたてNISAやiDeCoといったローリスク・ローリターンの手法で、堅実に資産運用するように努めたい。(記事:TO・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事