アステラス製薬に見る、世界で闘う大手製薬企業の「定め」

2021年6月28日 16:31

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 業界第2位のアステラス製薬の前3月期は、大幅な(44.2%)営業減益となった。その理由を解きほどいていくと、世界に伍して闘う大手製薬企業の「定め」を垣間見ることができる。

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 目下の主力品である「イクスタジン(前立腺がん治療剤)、前年度比14.6%増収」「ゾスパタ(急性骨髄性白血病治療剤)、67.2%増収」「尿路上皮がん治療剤(PADCEV)607.3%増収」や、「ベニタ材ス/ミラベトリック/ベットミガ(OAB=過活動暴行治療剤)」「イベニティ(骨粗しょう症治療薬)」「スーグラ/スージャヌ(糖尿病治療剤)」は順調に伸びた。

 が、欧州における「OAB治療剤:ベシケアの販売独占期間満了」をはじめ、「シムビコート(喘息治療薬)」「KMバイオロジックス社のヒト用ワクチン/高血圧治療剤/消炎・鎮痛剤薬終了」が影響し、総売り上げ収益が3.9%の減少になった。ざっくり言うと「販売契約終了」が重くのしかかり営業利益を激減させた。加えてイクスタジンの米国での拡充のための販管費増加、新型コロナ対応で営業自粛も重荷となった。

 要するに周知の通り「大型新薬」を世に送り出すことで「特許切れ」「販売終了」をカバーしていかない限り、伸長は止まらざるをえない。

 そうした「定め」をより鮮明にしているのが、5月26日に発表した2021年度から25年度の「経営計画2021」。まず時価総額で「7兆円」を掲げている。増資等がない限り本校作成時点の約1.8倍。単純に言えば株価が2倍近くに上昇することを意味する。またコア営業利益率30%以上を目標としている。その前提として、大型新薬の申請・認可がある。代表的な新薬候補(いずれも22年度申請予定)・予想ピーク時世界売上高は、以下のような具合だ。

★エンザルタミド: 早期ステージの非転移性去勢感受性前立腺がん治療剤/6000億円から7000億円。

★fezolinetant: 閉経に伴う血管運動神経症(非ホルモン)治療剤/3000億円から5000億円。

★エンホルツマブベドチン: 米国で迅速承認申請をしている、(治療歴のない)転移性尿路上皮がん治療剤/3000億円から4000億円。

★ギルテリチニブ: 急性骨髄異形成症候群治療剤/1000億円から2000億円。

★ゾルベツキシマブ: 胃腺がん、及び食道胃接合部腺がん治療剤/1000億円から2000億円。

★ロキサデュスタット: 腎性貧血治療用経口薬/500億円から1000億円。

★AT132: 筋力低下や呼吸器障害に伴い若くして死に至る重篤症状治療剤/500億円から1000億円。

 通常、新薬開発には10年余りの時間・継続投資が必要とされる。世界で勝負する大手製薬企業の「定め」をあらためて痛感する。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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