室蘭工大と大阪府立大が共同開発した超小型衛星、宇宙空間への放出に成功

2021年3月16日 07:42

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宇宙を飛行する「ひろがり」の想像図 (c) 大阪府立大学 SSSRC

宇宙を飛行する「ひろがり」の想像図 (c) 大阪府立大学 SSSRC[写真拡大]

 3月14日午後8時20分ごろ、国際宇宙ステーションから、室蘭工業大学と大阪府立大学が共同開発した超小型衛星「ひろがり」が、宇宙へ放出された。「ひろがり」は2月21日に打ち上げられ国際宇宙ステーションに送り届けられていたもので、大きさは幅約10センチ、高さ約20センチと非常に小柄。大阪府立大の学生49名と室蘭工大の学生9名の手によって製作され、2020年10月に完成していた。

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 大阪府立大小型宇宙機システム研究センターによると、「ひろがり」プロジェクトでは次の2つのミッションが計画されている。「アマチュア無線帯における高速通信技術実証」と、「軌道上形状計測システムの実証」がそれだ。

 従来超小型衛星はUHF・VHFにおいて、1200 bpsまたは9600 bps(AX.25 プロトコル)の通信速度を利用していたが、1つ目のミッションである「アマチュア無線帯における高速通信技術実証」では、リードソロモン符号化・畳み込み処理を用いたプロトコルの採用により、より高速な13600 bps GMSK、19200 bps 4FSKでの通信を可能とし、アマチュア無線の幅を広げることを目指している。

 2つ目のミッションである「軌道上形状計測システムの実証」では、太陽光パネルに見立てたプラスチック板(縦横12センチ、厚さ2ミリ)を特殊な折り方(ミウラ折り)で収納し、3月下旬にも遠隔操作で展開させる実験を行う。将来的な宇宙での太陽光発電の可能性を探るものだ。

 若者の理系離れが叫ばれて久しいが、このような研究活動が頻繁に大学で展開されていけば、きっと再び、宇宙に夢を抱き、技術や科学に興味を持つ若者が増えていくに違いない。

 一昔前であれば、ロケットの開発が先にあり、その次のステップとして人工衛星の開発があり、若者がこのような技術課題に挑戦することは容易ではなかった。だが現在は、ロケットの商業利用が可能になり、やる気さえあればこのような取り組みも比較的容易になってきている。この種の研究開発への公的支援もさらに望まれるところだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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