大幸薬品を「クレベリンはコロナ効果を満喫」と記したメディアはどこだ!?

2021年1月29日 08:36

印刷

 私は昨年3月5日の企業・産業欄に、『俄かに脚光を浴びた「クレベリン」 大幸薬品のいま』と題する記事を投稿した。現会長の柴田仁(ひとし)氏が社長だった2009年3月に、感染管理(クレベリン)事業を引っ提げて上場した、大幸薬品の現状を記した。その後もコロナ禍の中での同社をウォツチし続けてきた。

【こちらも】俄かに脚光を浴びた「クレベリン」 大幸薬品のいま

 今回、改めて大幸薬品を記す気になったのは、以下のような理由からである。

 1つは愛読書である(手元の)四季報の記述に、いささか腹を立てたからだ。【好調】という見出しの業績欄に、「クレベリンはコロナ恩恵を満喫」と記している。いかにも乱暴過ぎると思ったからだ。

 が、感染管理事業が目下の大幸薬品の大幅な収益増を牽引していることは事実である。クレベリンシリーズはいま、家庭・医療機関・介護施設に深く入り込んでいる。

 収益がそれを如実に表している。前3月期の「43.6%増収(149億6600万円)、88.4%の営業増益(38億2400万円)」に続いて今期(12月期に変更、9カ月の変則決算)も、第1四半期開示と同時に通期を「売上高180億円、営業利益55億円」に上方修正。第2四半期時点で「61%(109億6700万円)、77%(42億3800万円)」の進捗率を示している。

 牽引役が衛生管理事業であることは、論を俟たない。第2四半期の売上高に占める感染管理事業の比率は79%、セクター利益率は98%という状況。ちなみにクレベリンは「日用雑貨」に分類される。従い、特定のウイルス・菌・疾病等に対する効果・予防等を謳うことができない。だが前記の通り、数字の伸びが「現実」を如実に物語っている。

 また、海外戦略への姿勢を改めて知ったからだ。3月5日号でも記したが、上場時からクレベリンは「新型コロナウイルス対応の優秀国」と称される台湾に「EC」という形で販売していた。と同時に台湾現法を設立した。

 次いで中国にも進出。そして今回は、トルコに現法を設立するとした。大幸薬品では「GDP・人口が大きく市場として有望なトルコでのマーケティング・販売と同時に、隣接する欧州や中東などの周辺国でのパートナー開拓や市場調査を実施する」としている。海外展開に積極性を感じた。

 更には、昨年終盤に展開を始めた法人(医療機関、バス・タクシー・船舶等企業)・公的機関(自治体・介護施設・市民センター)向け「クレベリン供給サイト」の現状に対する広報部門の対応だった。

 「会員の伸びはどうか」という問いに、実名でこう返してきた。「11月の茨木工場(大阪府茨木市)の新規稼働でクレベリンの量産体制が確立した。市場への供給が落ち着き、最近では微増で落ち着いている。だがサイトは安定供給のニーズに沿えると考えている」。答えに接し改めて「クレベリンはコロナ恩恵を満喫している」を、腹立たしく思った。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事