太陽系外で木星や土星よりもはるかに低密度の惑星を発見 モントリオール大

2021年1月19日 15:36

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低密度巨大ガス惑星のイメージ (c) ESA/HUBBLE, NASA, M. KORNMESSER

低密度巨大ガス惑星のイメージ (c) ESA/HUBBLE, NASA, M. KORNMESSER[写真拡大]

 カナダのモントリオール大学は18日、太陽系外で発見された従来にない非常に低密度の惑星に関する情報を公開した。また同日、アメリカ天文学会の学術雑誌であるアストロノミカルジャーナルでも、この件に関する研究論文が公開されている。

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 2017年に発見された地球から212光年の距離にあるおとめ座の太陽系外惑星WASP-107bは、木星と同等の大きさでありながら、質量は木星の10分の1未満しかないという。つまり地球の約10倍の直径を持ちながら、地球の30倍程度の重さしかない。

 もしも地球と同じ密度で地球の10倍の直径を持つ惑星が存在するとすれば、その質量は地球の1000倍になるので、WASP-107bがいかに低密度の惑星なのかは想像できるだろう。またこの惑星では、2018年にその大気圏中にヘリウムガスの存在が確認されている。

 この惑星が注目されている最大の理由は、従来の理論によれば、膨大なガスをまとった木星型惑星が形成されるには、少なくとも地球の質量の10倍以上となる固体コアが必要と考えられてきたにもかかわらず、この惑星のコアは地球質量の4倍程度しかないからである。この事実は、木星型惑星の形成メカニズムに関する従来の定説に大きな修正を迫るもので、なぜこのような低質量のコアが、身にまとったガスの散逸を免れて誕生できたのかという謎に研究者の興味が集まっている。

 WASP-107bが形成された最も妥当なシナリオとして、モントリオール大学の研究者は、この惑星が現在公転している恒星から遠く離れた位置で形成され、その恒星を取り巻く星間物質のディスクにあったガスが十分に冷たく、この惑星のコアへのガス降着が非常に速く進んでいった可能性を示唆している。

 さらに、この惑星の形成後に他の惑星の重力との相互作用により、現在の公転軌道を周回するようになったと推論している。つい最近発見された同じ恒星系にある惑星WASP-107cは、WASP-107bの公転周期5.7日と比較して、3年もの長い公転周期を示している。

 つまりこの事実は、WASP-107cは恒星よりかなり離れた場所を公転していることを意味し、かつてWASP-107bも同様にかなり恒星から離れた場所で形成されたことを示す、間接的な証拠になっているのだ。

 WASP-107bはメタンの構成比率が非常に小さく、メタンが豊富にある従来の木星型惑星とは形成メカニズムが明らかに異なる。この惑星の研究は、太陽系だけではサンプル数が非常に少ない巨大ガス惑星の様々な形成パターンについて、その謎の解明に役立つ期待がかけられている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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