駐車場関連事業に「元気印」企業の登場が目立つ

2021年1月1日 08:59

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 不動産関連事業にあって、駐車場仲介関連企業の伸長が目に付く。10月21日の企業・産業欄に記したアキッパなどもそんな1社だが・・・。2018年9月に東証マザーズに上場したアズームなども伸長ぶりを見せつける。上場初値:6400円で買い、本校作成時点の時価まで保有していると投下原資は46%方増殖している。

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 実質的な上場後初決算となった2020年9月期は「15.5%営業増益、19%最終増益」。そして今期計画は「25.8%の増収(48億円)、100.5%の営業増益(4億5000万円)、106.5%の最終増益(2億8800万円)」と、なりこそ未だ小さいが着実に階段を昇る動向を示している。

 アズームの事業は、以下の2つのセグメントからなる。

 (1)遊休不動産活用事業: インターネットで運営する「CarParKing」(カーパーキング)を介して駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」。駐車場オーナーから空き駐車場をアズームがマスターリース(一括借り上げ)し、ユーザーに月極駐車場としてサブリース(貸し付け)を行う「月極駐車場サブリースサービス」。前期末段階で、マスターリース(受託)台数は1万1427台。サブリース(稼働)台数は1万565台。

 また19年9月期に事業譲受した、貸し会議室の運営をサポートするWeb予約システム「スマート会議室」。

 「スマート会議室」は新型コロナウイルス禍の影響を受けた。4-6月に解約数が上昇。だがランディングページ(様々な広告の受けページ)の改修を契機に回復傾向入りを見せている。

 (2)ビジュアライゼーション事業: 不動産価値を可視化するために3DCGなど専門的なスキルを活用し、建物や空間の利用方法/完成イメージをグラフィックデータとし作成・販売。前記の「スマート会議室」同様、コロナウイルス禍を受けた。

 つまり現段階では「月極駐車場紹介サービス」「月極駐車場サブリースサービス」の、アズームの今日を築き上げてきた「祖業」は順調な展開だが、新規部門に関しては様子見と言わざるをえない。

 それだけに目を惹かれたのが8月に表面化した業務提携。提携先はランデックス。「不動産の仕入れ販売」「売買の仲介」「オーダーメイド住宅のマッチング」「建築後のアフターフォロー」をワンストップで展開している。

 そしてそうした一連の展開の中に住宅用戸建て不動産の駐車スペースを対象に、駐車場サブリースサービス(おうちdeパーキング)を行っている。住宅保有オーナーの空き駐車場・空地を月極駐車場として活用し、副収入を・・・という事業だ。アズームの祖業・主軸の歩みを止めない拡充策として評価したい。

 「ガソリン車×、電気自動車◎」と時代は移っても、駐車場は不可欠な車社会の必須インフラである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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