動物の複雑な模様は混ぜるという過程から? 模様ができる仕組みを解明 阪大

2020年12月6日 19:57

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シンプルな模様をもつ動物種間の交雑によって模様が混ざり、複雑な模様をもつ動物が生まれることを明らかにした研究の成果(画像: 大阪大学の発表資料より)

シンプルな模様をもつ動物種間の交雑によって模様が混ざり、複雑な模様をもつ動物が生まれることを明らかにした研究の成果(画像: 大阪大学の発表資料より)[写真拡大]

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 大阪大学は4日、動物の体表に現れる複雑な模様パターンは、シンプルな模様が交配の過程で混ざる途上に形成されるとの研究成果を発表した。数学や生化学で答えを導き出していた従来の研究とは違い、遺伝学を切り口にした模様解析で成果の糸口を見出した。多彩な動物の模様パターンが明らかになった本研究は、生物の進化メカニズムの解明に向けた一助になるという。

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 動物の模様が作り出される仕組みは、同大の近藤茂教授による先行研究が有力だ。近藤教授は1995年、動物の縞模様が、反応拡散系と呼ばれる模様・チューリング・パターンであることを世界に先駆けて実証。近藤教授はその後、2012年に色が違う色素細胞の相互作用により、動物の縞模様や斑点ができる仕組みも解明している。

 現在では、模様を作り出す遺伝子を解析することで、チューリング理論を分子レベルで明らかにする研究が進められている。単純な模様については、どのようにできたかメカニズムが解明されつつあるものの、複雑な模様は依然として生化学的にも、進化論的にも未解明であるという。

 そこで、大阪大学の宮澤清太研究員は、複雑な模様の発生過程の解明を目指し、研究に取り組むことにした。研究には、自然情報処理の一種で、画像などのデータの中から一定の規則や意味を持つ対象を選別して処理するパターン認識を採用。1万8000種の魚種を対象に、水玉模様や縞模様、迷路模様といった多種多様なモチーフに関連性があるかを調べた。

 すると、黒地に白い水玉や白地に黒い水玉を代表とするシンプルな斑点モチーフと、幾何学的な迷路模様との間に相関関係があることを発見。このことは、複雑な迷路模様を持つ種が、シンプルな斑点モチーフの淡色斑を持つ種や暗色斑を持つ種が近縁に存在する時に、出現しやすいという傾向を突き止めた。

 さらに宮沢研究員は、コンピューター上でさまざまな模様を作れるシミュレーションによる解析を使い、異なる模様を持つ動物同士を仮想的に、模様パターンを混ぜてみた。その結果、迷路模様を持つ種族は、淡色斑と暗色斑という種間交雑(同族異種による2個体間の交雑)によって誕生していた事実が判明。

 今回の研究は、動物の模様が系統的に遠い種であっても、似た模様の種を発現するという事実を明らかにしており、「動物の特徴は、近縁な動物ほど似ていて、系統的に遠く離れるほど異なる」という通説を覆した。この点で、宮沢研究員が取り組んだ研究は、異種間の交雑が動物の進化を促したという1つの可能性を示したと言えるだろう。(記事:小村海・記事一覧を見る

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