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窓や容器など身の回りの製品の材料として欠かせない「ガラス」。古くは紀元前から精製法が確立されていたにもかかわらず、物性的には謎の残る「状態」だ。東京大学は19日、コンピューターシミュレーションにより、規則性のある固体でもガラスとして振る舞うことを明らかにしたと発表した。
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■固体のもつ2つの状態
物質は気体・液体・固体という異なる3つの状態をもつ。ところがガラスは硬さをもつにもかかわらず、固体や液体の中間的な状態である。固体のように流動的でない一方で、液体のように空間秩序をもたないためだ。
規則正しい分子の配列をもつ固体は「結晶」と呼ばれ、その対比でガラスは「非晶質」とも呼ばれる。ガラスにおいては、分子の配列は規則性をもたずランダムである。こうした分子配列の違いが物質の性質(物性)の違いに反映している。
ただし現実の固体は結晶とガラスとに振り分けられず、規則性とランダムな分子配列をあわせもつことが多いという。
■ガラスを基準に物性を理解する有効性を確認
東京大学、京都産業大学、米国・セントラルニューメキシココミュニティカレッジの研究者らから構成されるグループは、規則性の程度が異なる固体をコンピューターシミュレーションで再現し、その物性を調べた。アルミニウムや銅のような面心立方格子構造をもつが、結晶とガラスの中間的な構造をもつ固体を再現したという。その結果、こうした疑似的な固体がガラスのように振る舞うことが判明した。
結晶とガラスの中間的な構造をもつ固体は、基準から逸脱すると個別に取り扱われるという。こうした固体として合金や石英ガラスが当てはまる。今回、規則性とランダム性の両方をもった固体をガラスを基準に扱うアプローチの有効性が確認されたとしている。
研究の詳細は、米物理学会誌Physical Review Materialsにて19日にオンライン掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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