地銀動向で見逃せない、「2つの地銀連合」の存在

2020年11月17日 15:56

小

中

大

印刷

 地域の金融インフラの軸である、地方銀行の在り様が問われている。金融庁や日銀は「統廃合」による再編を進めるべきだと、仲介姿勢をあからさまにしている。超低金利/景気後退による「赤字地銀増」という現実が、背景としてある。現に上場地銀の9月中間期は6割が減益・赤字となった。菅義偉首相は、就任早々の段階で「地銀の数は多過ぎる」と言及。淘汰再編の方向性を示唆している。

【こちらも】地銀の合従連衡の今後を展望する

 ここ数年来、地銀の再編は実際に行われてきた。が、依然「●●銀行と▲▲銀行」式の、絵図が囁かれ続けている。

 そうした一方、2つの「地銀連合」の流れが注目を集めている。

 1つはネット銀行・証券を展開する北尾吉孝CEO率いる、SBIホールディングス(HD)による地銀への資本参加を軸にした地銀連合「第4のメガバンク」構想である。昨年9月に上場銀行としては最小規模の島根銀行と資本提携(34%を出資)したのを皮切りに、福島銀行(25%)/筑邦銀行(福岡、3%)/清水銀行(静岡、3%)/大東銀行(福島、17.14%)と立て続けに資本参加を実行した。

 北尾流(資本提携による)地銀蘇生法は、突き詰めると「(勘定系)システムコスト削減」「(預貸業務以外の)資産運用拡充」による再生術である。金融界の耳目を集めたのは、いの一番の提携先:島根銀行の収益動向である。

 提携後の前3月期、下半期に黒字に転じた(最終純損益は23億円近い赤字も)。そして今3月期計画は「3億円の最終利益」計画で立ち上がり、開示済みの4-6月期は前年同期比52.3%の純益増となっている。「有価証券利配収入増、役務利益(投信等の販売・収入差損益)堅調など、提携効果が寄与している」とされる。

 北尾氏は「まず10行との提携を図る。どこかで各行の再生を本格化し、次のステージに立つ」とした上で、「本業でもAIを駆使した効率的な預貸業務を進める」としている。

 もう1つの地銀連合は2015年10月に発足した「TSUBASAアライアンス」。経営統合でない地域広域連合として「独立性」を堅持しながらも、「フィンテックや事務・システムの共同化」「相続関連業務の連携」「シンジケートローンの共同組成」など行い参加行を増加させてきた。

 そして今年10月には共同出資会社「TSUBASAアライアンス(株)」を設立。琉球銀行をプラットフォームに「各行に共通する業務・機能の集約化」を掲げ、第1弾としてマネーロンダリング/テロ資金供与防止のための「アンチマネーロンダリングセンター」を開設した。

 TSUBASAの参加行は「千葉銀行・第四銀行・中国銀行・伊予銀行・東邦銀行・北洋銀行・北越銀行・武蔵野銀行・滋賀銀行・琉球銀行」。この連合に資金量で千葉銀行に次ぐ地銀上位行の群馬銀行の参入が明らかになり、「連合にとり追い風」と評されている。

 地銀の今後を見ていく上で、2つの連合の動向からも目を離せない。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード菅義偉日本銀行(日銀)資産運用金融庁SBIホールディングス

関連記事