特別仕様車が示すオプションの広がり アルピーヌ・A110「アトリエ アルピーヌ」

2020年11月13日 07:45

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アルピーヌ・A110(画像: アルピーヌ・ジャポンの発表資料より)

アルピーヌ・A110(画像: アルピーヌ・ジャポンの発表資料より)[写真拡大]

 アルピーヌ・ジャポンは11月5日、29色のボディカラーや3種類のデザインなどから好みに合わせてオーダーできるカスタマイズプログラム「アトリエアルピーヌ」の受注を開始した。対象車種はアルピーヌ・A110(エーワンテン)となり、他にホイールが3色、ブレーキキャリパーカラーが4色の中から選べ、通常オプションも幅広く用意する。

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 昨今、特別仕様車を限定発売することが多くのメーカーで増えた。それは紛れもなく販売施策であり、モデルチェンジによる新車効果とまではいかないが、発売から年月が経って販売量が落ち込んできた時にテコ入れ策として行われることが多い。

 今回の、アルピーヌ・A110の「アトリエ アルピーヌ」と称される「カスタマイズプログラム」は、選べるオプションを広げたサービスだ。今回の「カスタマイズプログラム」で驚かされるのは、ボディカラーが29色も用意されていることだ。ボディカラーは生産開始の初期段階で塗装するしかなく、ホイールのようにディーラーオプションと言うわけにはいかない。

 こうした、それぞれの注文に応じてオプション部品を選べる生産ラインは、「混流生産」「順序生産」などが進んでいなければ混乱をきたしてしまう。さらに、「アトリエアルピーヌ」は左右の運転席を選べるようになっており、間違いなく生産ラインで対応しているのだ。ルノーもかなり生産方式を整備しているのであろうが、これがBMWでは100を超えるオプションの組み合わせに応じる計画を進めている。

 また、アルピーヌ・A110の今回のオプション設定には、限定110台と制限がついている。A110にちなんで110台なのであろう。営業政策として、「限定車」の特別感を出そうとしているのだ。これはよく用いられる手法で、「特別な1台」が欲しいと願う顧客の潜在意識を利用して商品力を作り出すことが出来る。

 今回、「アトリエアルピーヌ」の納期を最長8カ月としていることで、生産ラインの混乱もなく対応できるようにしている。裏返して言えば、アルピーヌの生産方式の限界を示していることにもなる。これを受注から1カ月、まして1週間にするなどが出来れば、AIを使った生産手配の実践となるのであろう。しかし、それにはまだ時間がかかると見える。

 アルピーヌ・A110はフランス車でファッショナブルだが、イギリス生まれの「ライトウエイトスポーツ」を象徴するクルマでもある。機敏な運動性能が持ち味で、車重も軽量である。そして、「アトリエアルピーヌ」によって29種のボディカラーを選べるため、A110に求められているフランス車のファッション性を楽しむことが出来るクルマだ。

 さらに、このボディが日本人のデザインであることが誇りに思える企画でもある。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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