カナモトは調整一巡、21年10月期収益拡大期待

2020年11月2日 08:19

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。中期成長に向けて国内営業基盤の拡充、海外展開、内部オペレーション最適化を推進している。20年10月期は人財投資などで減益予想だが、災害復旧・防災関連やインフラ関連の公共工事が堅調に推移して21年10月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。

■建設機械レンタル大手

 建設機械レンタルの大手である。建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタル、福祉用具レンタルなども展開している。M&Aも活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。

 20年10月には札幌小型機械センター(札幌市白石区)を開設し、営業拠点数は205拠点、グループ合計522拠点となった。

 19年10月期の売上高構成比は建設関連事業89.6%、その他事業(鉄鋼関連事業、情報通信関連事業、福祉関連事業など)10.4%、営業利益構成比(連結調整前)は建設関連事業94.8%、その他事業5.2%だった。

 収益面では公共工事の影響を受けやすく、建設関連のため売上高が第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する季節特性がある。

■中期経営計画で24年10月期営業利益230億円目標

 中期経営計画「Creative 60」では、目標値として24年10月期売上高2280億円、営業利益230億円、営業利益率10.1%などを掲げている。

 重点施策として、グループ総力を結集した国内営業基盤の拡充、海外展開とカナモト版グローバルプラットフォームの確立、内部オペレーション最適化とレンタルビジネスの収益性向上を推進している。

 19年9月小松土木通商(石川県)を子会社化、19年10月子会社ユナイトが九州ロード(熊本県)を子会社化、19年12月子会社アシストが什器備品・ウォーターサーバーレンタルのコムサプライ(北海道)を子会社化した。20年4月には山本製作所(福岡県大牟田市)の建機事業を譲り受けた。

 20年9月には豪州の企業グループPPGの全株式を取得する株式譲渡契約書締結を発表した。株式譲渡実行日は20年9月30日以降、関係当局の承認取得を前提に設定するとしている。

 また20年9月にはソーキホールディングス(大阪市中央区)の全株式を取得し、ソーキホールディングス、測量機・計測機器のレンタルや自動計測システムの開発・レンタルなどを展開するソーキ、およびソーキ販売を子会社化した。

■20年10月期減益予想だが、21年10月期収益拡大期待

 20年10月期の連結業績予想(9月4日に下方修正)は、売上高が19年10月期比1.5%減の1779億円、営業利益が23.2%減の137億円、経常利益が25.6%減の136億円、純利益が30.0%減の80億円としている。配当予想は19年10月期と同額の65円(第2四半期末25円、期末40円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比0.6%減の1329億61百万円、営業利益が19.4%減の106億58百万円、経常利益が23.0%減の104億59百万円、純利益が28.1%減の61億43百万円だった。

 災害復旧・防災関連工事やインフラ関連工事など公共投資関連は堅調だったが、新型コロナウイルスによる民間投資関連の一部工事の遅延・中止の影響に加えて、レンタルビジネス収益性向上に向けた中古建機の販売抑制、人財投資なども影響して減益だった。建設関連は0.0%増収で21.4%減益、その他は6.4%減収で5.7%増益だった。

 通期ベースでも公共投資は堅調だが、民間建設投資における工事中止・延期の影響で、建設機械レンタル需要の回復にはやや時間がかかる見込みとしている。また中期経営計画の目標達成に向けて、レンタル用資産の運用期間延長、人事制度改革による積極的な人財投資、災害復旧向けに追加した設備投資に伴う減価償却費の増加などを見込んでいる。

 20年10月期は人財投資などで減益予想だが、災害復旧・防災関連やインフラ関連の公共工事が堅調に推移して21年10月期の収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値が重く、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。10月30日の終値は2148円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS208円46銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の65円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2981円68銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約832億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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