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20日、日本証券経済研究所が公表した「証券レビュー第60巻10号(2020年10月)」の中で、「自社株買いの株価押し上げ効果の推定」と題する評論が掲載された。著者は同研究員の田代一聡氏で、近年自社株買いを実施した上場企業の時価総額の推移を計測し、自社株買いがどの程度株価上昇に貢献するかを推定した内容だ。
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自社株買いを行った場合、個別企業の株価押し上げ効果は概ね3%程度だったようだ。
〇自社株買いによる個別企業の株価押し上げ効果の平均
・2016年 +3.34%
・2017年 +2.52%
・2018年 +3.48%
・2019年 +3.02%
上記では自社株買いによる押し上げ効果が100%を超えた企業が1社あり、全体の平均を押し上げた。該当の1社を異常値として除外した場合、その平均は2.8%強になる。
同論文では時価総額の大きい株式でも自社株買いによる株価押し上げ効果が一定以上あると推定されている。「ソフトバンク」「トヨタ自動車」「日本電信電話(NTT)」の3社で自社株買いによる株価押し上げ効果を推定したところ、以下のようになった。
〇2014~2019年における自社株買いの株価押し上げ効果の平均
・ソフトバンク +3.5%
・トヨタ自動車 +1.2%
・日本電信電話 +2.8%
個別の押し上げ効果平均と比較し、大きな乖離は見られない。自社株買いは大型株でも株価上昇の効果があるといえそうだ。
■市場全体の押し上げ効果は0.5~1%弱 米国市場の方が上昇しやすく
同論文では、自社株買いを実施していない企業も含めた、東証1部全体でも効果を計測している。結果は以下のようになった。
〇東証1部 2012~2019年における自社株買いの株価押し上げ効果
・平均値:+0.74%(自社株買いの累計:34.4兆円)
・最小値:+0.50%(2012年 自社株買いの額:1.8兆円)
・最大値:+0.98%(2019年 自社株買いの額:6.3兆円)
〇米国全上場企業 2012~2019年における自社株買いの株価押し上げ効果
・平均値:+2.73%(自社株買いの累計:5.16兆ドル)
・最小値:+2.0%(2017年 自社株買いの額:0.63兆ドル)
・最大値:+3.7%(2011年 自社株買いの額:0.57兆ドル)
個別企業の株価押し上げ効果と比較すると小さな数字だが、市場全体にも株価押し上げの効果が見られるようだ。またその効果は米国市場の方が大きくなった。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る)
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