DX人材の需要増加 副業者には大きなチャンスに

2020年10月20日 17:04

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 近年、ビジネスシーンで耳にすることが増えた「DX」という言葉。ITやデジタル技術の導入によるビジネス変革であるが、この動きは政府にも及んでいる。

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 本記事では、注目を集めるDX人材の需要増加が、副業者にとって大きなチャンスである点について紹介する。

■DX化による競争優位性の獲得はビジネスシーンのトレンド

 「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」とは、ITやデジタル技術を活用することで、ビジネス変革を目指す試みである。しばしばIT化と混同されやすいが、DXはIT化よりもさらに一歩進んだビジネス変革である点に特徴がある。

 IT化が単に手段であるのに対し、DXは企業組織やビジネスモデルの変革も目指す、よりドラスティックなものだ。各業界をけん引するトップ企業がDX化に成功していることから、もはやDXは変動の激しい競争を勝ち抜くための不可欠な条件となってきている。

 DX化の動きは政府にも及んでおり、先日発足した菅内閣の掲げる行政のデジタル化も、政府によるDX化の動きである。また河野規制改革担当大臣の「はんこ廃止」発言も、この行政のDX化と関係しているのだ。

 建設や製造業界では、アプリ開発企業やセキュリティ企業と連携したDX導入も図られており、今後もDXへの注目度は増すことが予想される。

 一方、DX化の課題となっているのは、DX人材の不足である。DX化が必要であることは理解できても、何から手を付けていいのか分からない企業トップが多いのもまた事実だ。特に旧態依然とした業界では、DXの専門家の需要が増加している。

■DX人材不足を副業者で補う動きが加速している

 DX化の大きな障害となっているのは、DX人材の確保だ。この課題解決に、副業者の活用が注目を集めている。7月8日、さいたま市教育委員会は転職サイト「ビズリーチ」との連携による、副業・兼業限定の教育DX人材の募集を発表した。

 これは、文科省が掲げる「GIGAスクール構想」の早期実現に向けた動きであり、DXの専門家を副業者で補う試みである。これはまさに、行政による人材シェアリングの活用とも言い換えられるだろう。

 またダイドーは外部人材の活用によるDX化を、コクヨは社内複業によるDX化を図っており、人材のシェアリングもDXと共に急速に注目度が高まってきている。同時にこうした現象は、副業者にとって大きなチャンスが到来していることを意味しているだろう。

 DX化の動きは、大手企業や行政に始まり、日本全体に波及していくことが容易に予想される。そして「DX」は、少なくとも今後数年間は、ビジネスシーンのバズワードになるはずだ。

 副業収入をアップさせたいと考えている副業者は、このチャンスを逃してはならないだろう。DX人材は今最も需要のある分野であり、人材シェアリングで補わなければならないほど枯渇しているのだ。これから副業を始めるなら、自分自身をDX化することがスタートになるのかもしれない。(記事:西島武・記事一覧を見る

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