アップルが”トリ”で「5G」対応「iPhone」発表も、「5G」が本当に堪能できるのはいつ?

2020年10月16日 07:59

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iPhone 12(画像: Appleの発表資料より)

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 13日、米アップルは高速通信規格5Gに対応した「iPhone」の新機種を発表した。韓国サムスン電子を始めとする競合メーカーが先を争って、5G対応機種を発表していることを考えると、いささか「遅きに失した感」は否めない。少なくとも「革新的な技術が詰まった新製品」という衝撃を感じる向きは少ないだろう。

【こちらも】Apple、5Gに対応するiPhone 12/12 Proを発表

 通信速度が速くて、低遅延性があると強調されることの多い5Gだが、現在の通信可能エリアは非常に貧弱だ。3大キャリアがHPなどで公表しているエリアは、東京都ですら細かな点として地図上に表示されているに過ぎない。この状況は都市部を離れると非常に顕著で、5Gの電波を捕まえることが如何にも困難で、受信しながら移動することは夢物語のレベルと感じさせられる。

 要するに舗装されていない農道しか存在しない時代に、高性能スポーツカーが登場したようなものだから、いま5G対応スマホを購入しても、耳慣れた慣用句で表現すると「宝の持ち腐れ」状態になる。

 もちろん通信キャリは5Gの基地局増設を必死に進めているが、通信速度の速さと裏腹に通信到達距離が狭いという弱点があることや、KDDIに2枠・NTTドコモとソフトバンク、楽天モバイルに各1枠割り当てられた3.7GHz帯の周波数(NTTドコモには別に4.5GHz帯が1枠割り当てられた)には、衛星通信との干渉により基地局の設置場所が制約されるという弱点がある。

 通信キャリアは4Gよりも高価な基地局をより多く設置するという設備費用の問題と、設置場所が限られるという物理的な問題に悩まされているのが実態だ。

 この窮状を一気に転換させると期待されているのが、4Gの周波数帯を5Gに転用可能とする総務省の省令等の改正だ。現在スウェーデンのエリクソンなどが中心で開発している「DSS(ダイナミック・スペクトラム・シェアリング)」は、4Gの周波数帯と5Gの電波を混在させて5Gの通信を可能にする技術で、KDDIとソフトバンクが導入すると見込まれている。加えて両社は共同で5Gの基地局を展開し、「22年3月までに全国5万局の基地局と90%超の人口カバー率を目指す」(ソフトバンク宮内謙社長)としている。

 DSSの残念なところは、スマホの画面には「5G」と表示されるにもかかわらず、通信速度や遅延は4Gとあまり変わらないことだ。折角の高性能スポーツカーも「ハリボテ」のようなサーキットでは、走りにくくて農道程度の速度しか出せないということになる。

 米アップルが悠々と最後発で5G対応の「iPhone」を発表した背景には、5Gを取り巻くこんな厳しい環境が影響していたことが想像される。今回の発表会には、異例にも米通信大手ベライゾンのCEOが登場して、5Gの地域カバー拡大に精力的に取り組んでいることを強調した。ところが、サンフランシスコなど60都市に拡大するまでの目途が20年以内だから、全米に広がる1800以上の都市や町村をカバーする時期は”何年後の将来”というよりは、公表するのも野暮というくらい遥か先の”未来”ということになる。

 こんな厳しい状況を背景に登場した5G対応「iPhone」には、5G以外に動画や写真の撮影機能を高めた機種や、「ライダーセンサー」でピント合わせをより的確に行う機種も発表されている。世界でもとりわけ「iPhone」好きな日本での反応が、大いに注目されているようだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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