少子化/コロナ禍で浮上している教育関連事業

2020年10月6日 16:50

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すららのイメージ。(画像: すらら)

すららのイメージ。(画像: すらら)[写真拡大]

 コロナ禍がフォローとなっている業態もあるようだ。少子化の流れで先行きに「?」が投げかけられてもいた、「学習」関連企業である。

【こちらも】少子化時代に潤う、教育事業の実態

 例えば、すららネット(以下、すらら。東証マザーズ)。前12月期は68.1%の減益に落ち込んだ今期は「136.2%増益(1億5200万円)」と急回復計画で立ち上がり、1-6月期で「1億850万円」を実現し通期を上方修正した。

 すららは小学生から高校生を対象に「学習塾」や「学校」向けの、オンライン学習教材「すらら」の開発・販売を手掛けている。対話型ICT(情報通信技術)による次世代教育システムが売り。主要5教科を、AI技術を活かしたコンピューター学習で「レクチャー」「ドリル(反復)」機能により「生徒個々の学力に応じた学習が可能」(すらら)という。

 主要顧客の学習塾の需要が、コロナ禍拡大の対応策として4月以降急増した。学校市場でも「小中高の臨時休業」⇒「オンライン学習需要増」が追い風となった。すらら側が機に乗じ?すららの「ID」を、国公立・私立の小中学校369校に約15万枚無償配布したのも奏功。新規契約に結び付いた。すららのコスト削減にも寄与。外出自粛に伴いセミナー費用や出張営業をオンラインに切り替えることで費用減となった。

 株価もこうした動きを反映している。6月末の1対5の株式分割後4000円余で再出発。7月に6200円まで買い進まれ、本校作成中の時価も5200円余と強張る展開を見せている。

 教育業界に特化したポータルサイトを展開する、イトクロ(東証マザーズ)などもそんな1社と言える。足元の収益動向は増収も「営業減益」だが、一口に言えば「投資フェーズ」に立ち位置を置いているがゆえである。主なポータルサイトは以下の通り。

★塾ナビ: イトクロの原点。学習塾のサイト。小中高の子供を持つ40代以上の主婦層がターゲット。全国の塾・予備校に無料で資料請求ができ、塾ナビ経由で入塾するとギフトカードを享受できる。商売上手なサイト。

★みんなの学校情報サイト: 幼稚園から大学まで8万7100校余が掲載されている。学校選定サイトだが、特徴は通り一遍の定量的情報だけではない点。在校生・卒業生・保護者などによる口コミ情報が掲載されている点。その数、5万6000件余。「自作自演、誹謗中傷の類が紛れ込まないような体制を敷いている」(イトクロ)とする。

★コドモブースター: 全国1万件以上の子供向け習い事教室の比較検索・体験ができるサイト。

 2024年10月期までの中計では、事業戦略投資として4億円を投下するとしている。

 斯界に明るい筋は、「イトクロやすららとて、少子化時代は重荷。業界の競争は激しい。だが逆に言うと先行メリットが両社を浮上させている」と説明する。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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