いまこそおさらいしたいNISA口座の基礎 中編

2020年9月27日 07:44

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 NISA口座に認められた毎年120万円の非課税投資枠については繰り越しができないため、使用しなければその年の非課税枠は無駄となってしまう。もっとも、毎年120万円の投資枠を全て活用し続ければ、5年目には合計600万円の投資運用をいることになる。非課税枠の上限額が600万ともいえるわけだが、我々にとって600万円の投資運用枠と考えれば十分な金額であろう。

【前回は】いまこそおさらいしたいNISA口座の基礎 前編

 なお、利用者1人につき1口座のみ開設可能というのも注意すべき点だ。なぜならNISA口座を開設した金融機関によって取引できる投資商品が異なり、株式に関しては銀行では取り扱いが無い。株式売買を行いたいのであれば、証券会社で口座を開設しなければならない。

 かつて、1度開設したNISA口座は、以後4年間は変更できないことになっていたが、現在は口座変更も適宜可能だ。ただし、その年にNISA口座の非課税枠を利用して投資を行った場合、年内の口座変更はできないことには注意が必要である。

 さて、NISAに続いて始まったのが「ジュニアNISA」だ。ジュニアNISAを利用できるのは日本に住んでいる0歳から19歳に限定されており、1人1口座、そして毎年80万円までの非課税投資枠が認められている。もっとも運用管理者は本人ではなく、両親(または祖父母)だ。

 ジュニアNISAの目的は子どもたちへの学費積み立てである一面が強く、原則18歳までは払い出し制限があることが、一般のNISAとは大きく異なる。しかし、子どもたちへの学費積み立てに投資運用を積極的に行うという内容が世間一般に受け入れられず利用実績が乏しいため、新規の口座開設は2023年(令和5年)までで停止される。

 そして2018年には、一般のNISAとは異なる「つみたてNISA」が開始された。これは一般のNISAよりもさらに長期的な投資運用を目的とされており、毎年40万円までの非課税投資枠、最長20年間も非課税期間が認められている。つまり、非課税枠の上限は800万円と一般のNISAよりも多い。

 ただし、つみたてNISAで運用ができる投資対象は、金融庁が認めた一定の基準を満たす投資信託とETFのみに限られる。その内容はローリスクローリターンなものが多いことから、今後運用が厳しくなるであろう公的年金の補完的役割として、制度が推奨されている一面もあると考えてよいのではなかろうか。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

続きは: いまこそおさらいしたいNISA口座の基礎 後編

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