シナネンホールディングスは07年以来の高値圏、21年3月期上振れの可能性

2020年9月23日 08:18

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 シナネンホールディングス<8132>(東1)はグローバル総合エネルギーサービス企業グループを目指している。21年3月期は市況影響や先行投資負担などで減収減益予想としているが、原価率改善効果などで上振れの可能性が高いだろう。株価は急伸して07年以来の高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■グローバル総合エネルギーサービス企業グループ

 旧シナネンが15年10月持株会社体制に移行した。グローバル総合エネルギーサービス企業グループを目指し、エネルギー関連のエネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)を主力として、非エネルギーおよび海外事業も展開している。

 BtoC事業は、家庭向け・小売事業者向けLPガスなど各種燃料販売事業、リフォーム・ガス器具販売などの家庭向けエネルギー周辺事業、家庭向け電力販売事業、都市ガス供給事業、LPガス保安および配送事業を行っている。

 BtoB事業は、大口需要家向け石油製品など各種燃料販売事業、ガソリンスタンド運営事業、電源開発および法人向け電力販売事業、太陽光発電システム販売および周辺サービス事業、省エネソリューション事業、住宅関連設備事業、国内外での再生可能エネルギー事業を行っている。

 非エネルギーおよび海外事業は、抗菌事業(抗菌性ゼオライトなどの製造・販売)、環境・リサイクル事業(木質系チップなどの製造・販売)、自転車の輸入・卸売・小売事業、シェアサイクル事業、コンピュータシステムのサービス事業、建物維持管理事業、バイオマス事業を行っている。なおシェアサイクル事業は、首都圏中心に20年6月末時点で約1250カ所のステーションと6000台を超える電動アシスト自転車を展開し、国内有数の規模となっている。また韓国での大型風力発電事業は21年度下期中の商業運転開始を目指している。

 20年3月期セグメント別(調整前)売上構成比はBtoC事業が29%、BtoB事業が65%、非エネルギーおよび海外事業が6%、営業利益構成比はBtoC事業が50%、BtoB事業が53%、非エネルギーおよび海外事業が▲3%だった。

■資本効率改善を推進

 第2次中期経営計画(20年度~22年度)は、第3次中期経営計画(23年度~25年度)の躍進に向けた基盤整備と位置付けて、定性目標に資本効率の改善、持続的成長を実現する投資の実行、社員の考え方・慣習・行動様式の変革を掲げている。

 資本効率の改善では、既存事業の効率化と利益率向上、遊休・低稼働資産の有効活用または売却、資本効率の低い事業の撤退・売却と資本効率の高い事業への集中を推進する。持続的成長を実現する投資の実行では、既存事業の収益基盤強化のためのM&Aおよび建物維持管理事業におけるM&Aの実行、シェアサイクル事業・再生可能エネルギー事業・新規事業への戦略投資の実行、事業多様化や環境変化に値旺した基幹システムの整備・高度化およびDX(デジタルトランスフォーメーション)のためのIT投資を推進する。

 定量目標「持続的にROE6.0%以上」を生み出す事業構造確立を目指し、エネルギー関連事業ではM&Aによる顧客基盤とシェアの拡大、新規商材による顧客層の拡大と深耕などで経営基盤を強化し、非エネルギーおよび海外事業では個々の事業環境や特性に対応した成長戦略を推進する。そして既存事業の安定的成長と新規事業開発による高収益化を図る方針だ。なお株主還元は配当を基本として、配当性向30%以上を目安に安定的に配当する方針としている。

■21年3月期減収減益予想だが上振れの可能性

 21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比4.7%減の2260億円、営業利益が10.4%減の22億円、経常利益が18.3%減の18億円、純利益が49.8%減の15億円としている。配当予想は20年3月期と同額の75円(期末一括)である。

 第1四半期は、売上高が前年同期比17.9%減の392億67百万円、営業利益が59.6%増の8億09百万円、経常利益が2.2%増の7億円、純利益が前期計上の特別利益(保険事業の譲渡益、株式段階取得に係る差益)剥落で76.5%減の2億60百万円だった。

 売上面では市況影響による販売価格下落、新型コロナウイルス影響による飲食店向け業務用LPガスや産業用エネルギーの需要低迷で減収だが、ステイホームで家庭用LPガスや灯油は順調に推移した。BtoC事業は20.8%減収、BtoB事業は21.5%減収だった。非エネルギーおよび海外事業は18.9%増収だった。自転車事業で外食産業向け宅配用自転車の販売、抗菌事業で北米向けマスクや手術衣用抗菌剤の販売が好調に推移し、M&A効果も寄与した。

 利益面は原価率改善効果などで大幅営業増益だった。BtoC事業は販売数量減少で48.1%減の2億21百万円だったが、BtoB事業が3.3倍の4億24百万円となった。原油市況変動に対応した仕入施策によって原価率が大幅改善した。非エネルギーおよび海外事業は1億01百万円の黒字に転換(前年同期は78百万円の赤字)した。抗菌事業の好調に加えて、前期発生した環境・リサイクル事業の燃料供給先の稼働停止の影響が一巡したことも寄与した。

 通期は、新型コロナウイルスの影響は全体として軽微だが、市況影響で減収、新規事業に係る先行投資(国内外の再生エネルギー事業、シェアサイクル事業など)および各種IoT関連投資の影響で減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益進捗率は36.8%と高水準だった。通期上振れの可能性が高いだろう。

■株価は急伸して07年以来の高値圏

 株価は急伸して年初来高値を更新した。そして07年以来の高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月18日の終値は3245円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円92銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4425円87銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約423億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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