内田洋行、ICT基盤の強化で大幅増収増益を目指す

2020年8月24日 19:13

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「絆Core」の概要。(画像: 内田洋行の発表資料より)

「絆Core」の概要。(画像: 内田洋行の発表資料より)[写真拡大]

 内田洋行は、地域包括ケアを実現する高齢者介護クラウドシステム「絆Core(コア)」を、9月1日に発売する。2,000法人以上に導入されていた従来システムをクラウド版に大幅刷新し、モバイル対応やIoTからのデータ連携を強化した。

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 「施設支援」だけではなく、「居宅支援」「地域支援」「地域包括支援」の各システムで構成し、施設、在宅での介護データをスマホ、タブレットでリアルタイムに共有。センサーによる夜間ベッドでの体動、呼吸心拍データの検知も可能となる。医師、看護師との情報共有もでき、地域包括センターの業務運用に対応する。

 内田洋行は1910年、測量・製図機械を扱う商店として内田小太郎によって創業された。タイプライターなどの輸入品を取り扱い、1917年に中国語で外国人の店を意味する洋行から、現在の商号「内田洋行」へ変更した。

 1925年からは技術者必携とされた「ヘンミ計算尺」の国内総代理店となり、自動番号機、高級鉛筆、洋画材などの高級商品の国産化に着手。戦後は、学校教育向けの科学教材の普及に努めた。

 2019年7月期の売上高は1,643億円。事業分野別の構成比は、教育機関や官公庁・自治体向け機器の製造や販売などを行う公共関連事業が35%、企業向けに基幹業務システムやソフトの設計・構築などを行う情報関連事業が35%、家具の開発・製造や、空間デザイン、OA機器の販売などを行うオフィス関連事業が30%を占める内田洋行の動きを見ていこう。

■前期(2019年7月期)実績

 前期実績は、売上高が1,644億円(前年比8.5%増)、営業利益は前年よりも9億円増の38億円(同29.7%増)だった。

 営業利益増加の要因としては、Windows10更新需要の拡大、食品・建設業向けクラウド型業務システム拡大で情報関連が6億円、小中高向け1人1台のタブレット端末などの環境整備により公共関連が2億円、首都圏の大型オフィス供給で黒字化したオフィス関連が1億円の増益と、ICT関連が大きくけん引した。

■中期経営計画(2019年7月期~2021年7月期)による推進戦略

 今期第3四半期累計(8-4月)の売上高は1,539億円(前年同期比27.6%増)、営業利益83億円(同134.1%増)の好調な実績を受けて、今期見通しは当初計画売上高1,700億円、営業利益39億円を再度大幅修正して、売上高1,950億円(前年比18.6%増)、営業利益65億円(同70.4%増)を見込んでいる。

 ICTを基盤に、「モノからサービスへ」グループ全体で市場変化に対応するため、次の戦略を推進する。

●1.ICT関連ビジネスの基盤強化

 ・システムエンジニア900人の組織統合。
 ・クラウドアプリケーション開発、ICT製品、サービス開発スキルなどの基盤統合による情報共有。

●2.顧客資産を土台に需要開発へのチャレンジと事業群シナジーの創出

 ・文教市場では、小中高大と教育委員会向けにICT、官公庁と自治体市場では、基幹系業務システムとICTの推進。
 ・中小企業向け市場では、食品、物流、建設業向けの総合基幹業務システム推進。
 ・異なる事業群、顧客資産シナジーからのダイナミズム創出。
 ・共通基盤を活用した「絆コア 高齢者介護システム」の開発。
 ・「働く場」「学ぶ場」で、情報と場をつなぐプラットフォームの強化。

 ICT関連ビジネスの強化により大幅増収増益を目指す内田洋行の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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