オリエンタルランド、1Qは新型コロナウイルスの影響によるテーマパークの臨時休業等で減収減益

2020年8月21日 09:01

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記事提供元:ログミーファイナンス

オリエンタルランド、1Qは新型コロナウイルスの影響によるテーマパークの臨時休業等で減収減益

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2021年3月期第1四半期決算説明会

上西京一郎氏:みなさまこんにちは、上西です。本日はお忙しい中、弊社説明会にご参加いただきありがとうございます。

まず初めに、新型コロナウイルス感染症に罹患されたみなさまおよび、感染症流行により生活に影響を受けられたみなさまに、心よりお見舞いします。また、最前線で日々、新型コロナウイルス感染症と闘っている多くの医療従事者の方々を含め、感染拡大防止に向けてご尽力いただいているすべてのみなさまに、あらためて敬意を表します。そして、一日も早い回復と、感染症の早期収束をお祈りします。

東京ディズニーリゾートの再開状況

「東京ディズニーリゾート」の状況については、2ページにあるとおり、休業要請等が解除されたことや、ゲストやキャストの安全対策などパーク運営の体制が整ったため、「東京ディズニーランド」および「東京ディズニーシー」は、7月1日から営業を再開しています。臨時休園期間中、株主・投資家のみなさまには励ましのお言葉をはじめ、多大なるご支援を頂戴しましたことに、心から御礼します。

1.当期実績(前年同期比較)

それでは、第1四半期決算概要をご説明します。お手元の資料の4ページをご覧ください。前年同期比較の連結損益計算書は、ご覧のとおりです。

2.営業費用減少の内訳

5ページ目をご覧ください。スライド下段の表をご覧ください。営業費用減少の内訳についてご説明します。営業費用のうち、固定費の一部は特別損失として計上し、営業利益に対してはプラス197億円となりました。また、臨時休園で活動を見直した結果、営業費用は71億円減少しました。主に準社員人件費や販売促進費、スペシャルイベント関連費用の減などが含まれます。

次に、特別損失への振替があった営業費用について、科目別にご説明します。人件費は、休園期間中の一部の人件費など79億円を、特別損失として計上しています。諸経費は、休園期間中の固定資産税や業務委託費など36億円を、減価償却費は、休園期間中の減価償却費など81億円を、特別損失として計上しました。このほか、飲食売上原価の人件費や商品・原材料の廃棄など14億円を、特別損失として計上しました。

なお、人件費や飲食売上原価の、人件費の特別損失として計上した額は、雇用調整助成金として受給が確実と見込まれる金額を合理的に算出し、控除したものです。これらの結果、税金等調整前四半期純利益は約692億円減少しました。

【参考】事業別営業費用分析(前年同期比較)①

【参考】事業別営業費用分析(前年同期比較)②

6ページと7ページはご参考まで、事業別営業費用分析を示しています。

臨時休園中の対応

続いて、新型コロナウイルス感染症流行への対応です。まずは、2020年3月期期末決算発表後の臨時休園期間中の対応についてご説明します。9ページをご覧ください。

臨時休園中に最も注力したことは、安全・安心を徹底したパークの再開準備です。再開後の状況を想定し、キャストがキャスト役とゲスト役に分かれて、実践に近い形式でトレーニングを実施するなど、ゲストの安全対策が万全であることを確認できるまで、念入りに準備を進めました。また、このようにキャストがゲスト視点でオペレーションを確認することで、自身のサービスにより自信を持つことができたと考えています。

続いて、財務体質の強化についてご説明します。臨時休園が続いても手元資金で対応できる体制ではありますが、先行きが見通しづらい中、仮に資金が必要になった場合にも、機動的かつ柔軟に必要な金額を調達できるよう、2,000億円のコミットメントライン契約を締結しました。

ゲストへの対応としては、臨時休園により残念な思いをしているゲストに、少しでも楽しい気分になっていただくために、5月26日から6月24日まで「東京ディズニーリゾートショッピング」を通じて、パーク内グッズを購入していただける機会を提供しました。また、6月以降は、イクスピアリと「ボン・ヴォヤージュ」を段階的に再開しました。

従業員については、準社員・出演者への特別休業手当の支給を延長したほか、5月18日より社員の一時帰休を開始しました。

新型コロナ感染症流行の主な対策

10ページをご覧ください。こちらのスライドは、現在のパークにおける、新型コロナウイルス感染症流行への主な対策内容です。

パークでは、「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に沿った対策を講じており、通常時の50パーセント以下の入園者数で運営している状況です。また、運営時間を短縮したり、オープンするアトラクション数を約80パーセント、商品施設数を約70パーセント、飲食施設数を約40パーセントに絞っていることに加え、入園時間指定パスポートを導入するなど、ゲストとキャストの健康と安全の確保を最優先に運営しています。

さらに、ゲストがお食事中にマスクを保管できるマスクケースを提供するなど、ゲストに寄り添った施策も実施しています。公式アプリ・電子マネーなど、ITの活用を進めてきたからこそ実施できた施策も多くあり、「2020中期経営計画」を着実に進めてきた成果だと考えています。

私たちがパーク運営において最も重視しているのは、大切なゲストのみなさまの安全を守ることです。来園してくださったゲストのみなさまには、心から安心してパークを楽しんでいただきたい。ゲストのため、そして東京ディズニーリゾートの存続のために「パーク内で感染拡大を絶対に起こさない」という強い覚悟を持って運営しています。パークを再開して約1ヶ月になりますが、現時点でオペレーションに大きな問題は起きていません。

7月中旬時点での業績の状況

11ページをご覧ください。短期的な業績をお伝えすることでミスリードにつながりかねないため、通常であれば、足元の業績についてはお話ししませんが、新たな事業環境について少しでもみなさまにお伝えしたく、パーク再開後の状況についてご説明します。あくまでも再開直後の初動であり、今後の傾向を表すものではありませんので、ご了承ください。

当面は、通常時の50パーセント以下の入園者数で運営していくことになりますが、パークの営業を再開して以来、首都圏を中心に需要が高く、安全性を確認しながら入園者数の制限を段階的に引き上げています。

ゲスト1人当たりの売上高については、パーク運営時間を短縮していることに加え、一部店舗をクローズしているものの、臨時休園期間中に販売できなかったイベントの商品の販売好調や、パーク再開と同時に「東京ディズニーシー」に新たに登場した、ダッフィー&フレンズの新キャラクター「オル・メル」関連商品の販売、そして、テーブルサービスの飲食施設の好調など、主に一時的な要因から、全体としては前年同期比較で増加しています。

なお、とくにゲスト1人当たり売上高には、ご覧のような変動要素もありますので、今後は傾向が変わる可能性があると考えています。

「ディズニーホテル」は、チケット数に応じて客室販売を制限しているため、売上が減少しています。したがいまして、テーマパークにおけるゲスト1人当たり売上高は増加しているものの、テーマパークの入園者数と「ディズニーホテル」の宿泊ゲスト数等が減少し、営業利益はマイナスの状況です。厳しい事業環境ではありますが、状況は刻一刻と変化していますので、今後の業績回復に向けた社内での議論を進めているところです。

業績回復に向けた議論

その内容についてご説明します。12ページをご覧ください。まず、入園者数については、社内外の状況に鑑みながら制限を徐々に緩和するものの、利益よりもゲストとキャストの安全・安心を最優先し、高い体験価値を維持するために、入園者数の制限は継続していきます。「東京ディズニーランド」の大規模開発エリアの開業時期や、パーク運営時間の延長などについては、パークの状況を踏まえながら判断していきます。

2020年度の固定費の傾向について、前年同期比較でご説明します。「東京ディズニーランド」大規模開発エリアが開業すれば、減価償却費は増加するものの、労働時間の減少や、従業員の配置転換による生産性向上で人件費は減少し、新型コロナウイルス感染症予防のために、スペシャルイベントやプログラムを中止したことなどから、その他の固定費も減少する見込みです。

今後、想定以上にこの状況が長引き、低い入園者数が長期化した場合、事業を新たな軌道に乗せていくために最も重要なことは、高いコスト構造を見直すことです。そこで、入園者数に制限がある中でも利益を出せる体制づくりを目的に、今年6月に「コストコントロールチーム」を組成しました。

今後、このチームで、全社的な収益レベルやキャッシュフローを見極めながら、足元の状況と長期的な視点を踏まえた上で、経費や投資、人件費等のコストについて、迅速かつ厳格に精査・コントロールをしていきます。

中長期的な成長に向けて

13ページをご覧ください。中長期的に収益の向上を図るために、チケット価格の変動制などの、新たなチケット戦略の引き続きの検討や、パーク内におけるゲストの「体験」を新たな収益源にするための検討など、ゲスト1人当たり売上高の向上を図るための施策についても、検討を進めていきたいと考えています。

そして、2021年度に「東京ディズニーシー」に導入する新規エンターテイメントや、すでに発表済みの大型投資については、やり抜きます。この危機を乗り越えた先の「東京ディズニーリゾート」の成長を、中長期的に支える必要不可欠なコンテンツであり、決して止めてはいけないと判断しています。一方で、緊急性が低い更新改良工事については、中止・縮小・先送りを検討します。

6月5日には、ベンチャー投資を行なう新会社を設立しました。今後は他社とも積極的に協働し、社会により必要とされる会社として成長していきたいと考えています。なお、弊社の新規事業については、今回の新会社設立に限らず、引き続き長期的視点で、成長が期待される事業領域への調査研究を継続し、OLCグループの永続的な成長に寄与すべく、幅広く検討していきます。

2021年3月期の業績予想、現中期経営計画については、第2四半期決算発表説明会での発表を予定しています。

最後に、4ヶ月ぶりに再開した7月1日の朝、私は緊張しながらパークのエントランスに立ちました。ゲストが次々と笑顔で来園してくださる姿を見て、私たちの事業は、社会の多くの人から必要とされている「こころの産業」であることを、再認識しました。そして、「この事業をやっていて良かった」という喜びと同時に、しっかりと立て直さなければならないという責任を強く感じました。

道のりは平坦ではありませんが、着実に歩んでいくことで、今まで以上にすばらしい「東京ディズニーリゾート」として復活していきます。私からは以上です。ありがとうございました。

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