不動産投資で単身世帯数に注目すべき理由

2020年8月17日 12:12

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■単身世帯数は投資の指標となる

 不動産投資では「いかに入居を埋めることが出来るか」が重要になるため、投資の判断材料にその地域の人口がしばしば注視される。

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 人口が重要な指標になることは間違いないが、不動産投資では入居者の性質を考えた際に、単身世帯数に注目すべきだ。それは、投資対象になる不動産にマンションやアパートの一室が多く、その物件に住む入居者は単身の傾向が強いからである。

 東京では不動産投資が活発に行われているが、その背景の一つに継続的な単身世帯数の増加が挙げられる。東京都によると、2030年に総世帯数のピークは迎えるが、2035年には区部で単身世帯の比率が初めて50%を超える見通しだ(日経新聞より)。

■単身世帯数増加は投資家にとって追い風

 日本の人口は2008年の1億2,808万人をピークに、少子化の影響を受け減少の一途を辿っている。一方で、単身世帯数は2015年で1,842万世帯であったが、2040年には1,994万世帯にまで増加することが見込れる点に注目したい(国立社会保障・人口問題研究所より)。

 マンションやアパートの一室に住む傾向がある単身者の増加は、不動産投資を検討する人にとって背中を押す判断材料になるだろう。

■単身世帯数増加の背景

 単身者が増加する背景には、未婚率と離婚率の上昇といった社会情勢が大きく関わっている。つまり、今後もこのような社会情勢が続けば、単身世帯数は少なからず増加することが推測出来るだろう。

 また、こうした社会情勢に高齢化が進行している点を考慮すると、単身の高齢者も増加していく見込みだ。よって、若者だけではなく高齢者も入居者の対象として考えていくことが、長期的な不動産投資では重要な視点になりうる。

■とはいえ楽観視すべき指標でもない

 単身世帯数は増加が見込まれるものの、不動産投資は単身世帯数だけに左右されるものではない。

 例えば、最寄り駅からのアクセスが悪い・家賃が相場よりも高い・十分な設備がない等、入居の障壁になる要素は数多く挙げられる。

 また近年では、様々な物件が登場しており、そのバリエーションは以前よりも豊かになった。そのため、入居者が物件に求めるレベルも上昇していると考えられるのではないか。

 いつの時代も「入居者とって良い物件とは何か」というテーマを念頭に、不動産投資を行うのが賢明といえる。(記事:大掛翔太・記事一覧を見る

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