高まるバーチャルオフィスの存在感

2020年8月5日 19:18

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 レンタルオフィスやシェアオフィスに続き人気化しつつあるのが、「バーチャルオフィス」だという。一口で言いうと、「住所と電話番号」がレンタルされるオフィス。レンタルされる住所で法人登記が可能となる(ケースが大方)。

【こちらも】シェアオフィスの増加は時代の変化を映し出している

 スタートアップ企業や自営業者にとっては仕事場(内装や、机・椅子等の什器)不必要なことからコスト面でかっこうといえる。何故なら、運営業者(ビル保有者)によってもサービスに差異はあるがこんなことが可能になるからだ。

★名刺に住所・(固定電話の)電話番号の記載が可能。

★届いた郵便物の保管・転送や、電話が入ると届け出ておいた携帯電話への転送が可能。

★移動中に電話が入り携帯への転送が不可能な場合は、秘書役(従業員)を装った人物が応対。

 こうした限りではビルオーナーの空室対策に有効な手段となる。極論するとビルオーナーの投資は精々、郵便ポストの設置位で済む。スタートアップ企業にも月額負担数千円程度でも可能であり、win win。

 が、世の中早々甘いものでないことも事実。バーチャルオフィスを運営しているオーナーは、こう語ってくれた。

 「当方があらかじめバーチャルオフィスの開設を銀行に説明しておかないと、利用者が銀行口座の設営する上で苦戦しかねない。特に昨年6月に施行されたマネーロンダリング法、資金需要に対する銀行側の厳しくなった。利用者のうち1社でも運用事故が起こったりすると、バーチャルオフィスへの融資事態にNGが出かねない。

 我々の側としても初期投資が限られているからといって、利用者の選択・審査には十二分に注意しなければならない。でなくては我々と銀行の間にギクシャクするものが生じかねない。

 事故が発生すると予めバーチャルオフィス事業に関し説明してあっても、銀行が視察にくるというケースがあると聞いている。そうした場合に備えて“実務の実態なし”をカバーするために、うちでは小さな会議室を1つ用意しているが、デスク・椅子の1つくらいは用意しておくべきかもしれない。バーチャルオフィスのあるべき姿とは若干外れるのかもしれないが」。

 働き方改革という面からも、ビルオーナーにとってはバーチャルオフィスの運営は魅力もあるが「苦もある」ということのようだ。

 業界大手の一角に、ワンストップビジネスセンターがある。「住所貸し」「郵便物転送」「電話の携帯への転送」が3本柱。月額料金は税別4800円から。1時間2000円からの貸し会議室も設けている。現在、全国で30拠点を展開。バーチャルオフィス、前記のような問題を孕みながらも存在感は着実に高まり始めてはいるようだ。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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