生命の起源となった炭素の由来は何か ジョンズ・ホプキンス大学の研究

2020年7月8日 07:57

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M27。このような惑星状星雲の生成プロセスが私たちの体を構成している炭素の由来だったのかもしれない。 (c) NASA

M27。このような惑星状星雲の生成プロセスが私たちの体を構成している炭素の由来だったのかもしれない。 (c) NASA[写真拡大]

 地球には様々な元素が存在しており、その由来については、太陽系が誕生する前の時代にまで遡らなければならない。というのも水素以外の元素は核融合によって生成されるからだ。核融合は恒星の内部で起こるが、恒星の内部で生産が可能な元素は鉄よりも軽いものだけだ。鉄より重い元素は、太陽の3倍以上の大きな質量を持つ恒星でしか起きない超新星爆発によって生成される。したがって地球は、太陽系誕生以前に存在していた巨大な恒星の超新星爆発による残骸の物質を起源としていると、一般的には考えられている。

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 しかしながら、超新星爆発の衝撃波で炭素のような軽い元素は、宇宙のはるかかなたまで吹き飛ばされてしまい、元の場所には残らないのではないかという素朴な疑問も存在する。しかもこの疑問に対する答えまでは、厳密に言えば準備されていないのが、天文学の世界の現状である。

 この素朴な疑問に対する答える米ジョンズ・ホプキンス大学の研究論文が、7月6日のNature Astronomy誌で公表された。この論文によれば、天の川の散開星団に存在している白色矮星の質量は、太陽の0.75倍程度であるという。だがこの観測結果は従来の白色矮星に対する常識を覆すものだった。

 白色矮星とは太陽質量の3倍未満の恒星が、死に直面した際に表面を爆発によって失った結果、残骸となった姿の星で、一般的には太陽質量の0.6倍程度の星であると考えられてきた。また、太陽の0.75倍程度の質量を持つ白色矮星をもたらした元の恒星は、太陽質量の少なくとも1.5倍以上の規模が必要であるという。

 このクラスの恒星が内部の核融合によって炭素を形成し、炭素に富んだ表層が大爆発によって吹き飛ばされるのではなく、ゆるやかに膨張拡散していった結果、銀河系のいたるところに炭素がまき散らされたのではないかとこの論文では考察している。この状態は、例えば子ぎつね座のあれい星雲のような惑星状星雲M27をイメージすると理解しやすいだろう。

 実のところ地球上に存在している炭素が超新星爆発由来なのか、今回の研究論文で取り上げられたような惑星状星雲の生成プロセスに由来するものなのかは、現時点で結論を下すことはできない。だが今回の研究論文が正しいとするならば、地球上に存在している炭素量は、太陽系誕生後に確定していたわけではなく、太陽系誕生以降も銀河系のいろいろな方向からゆっくりと炭素原子が運ばれてきていたことになるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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