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米ジョンズ・ホプキンス大学によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の米国の感染者数は260万人を超えるのに対し、中国の感染者数は約8万5千人だ。両国ともソーシャルディスタンシング戦略が採用されたが、感染拡大の抑止力にも差がみられる。米ノースイースタン大学の研究グループは、この差が感染防止策の厳しさによるものだと発表している。
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■アウトブレイク前後で接触が劇的に減少した中国
新型コロナウイルス感染症は接触感染や飛沫感染等によって、人から人へと感染する。そのため、人同士の接触を減らすことがエピデミック(地域流行)の抑制につながる。
中国では、ソーシャルディスタンシング戦略が採用された時期が1カ月未満だが、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイク(感染爆発)前後で、人同士の接触が顕著に減っていることが確認された。研究グループは、退職者、被雇用者、雇用者、学生、就学前の子供の5グループで1日の接触人数を調査したところ、武漢や上海では、アウトブレイク前後で7分の1から9分の1まで接触人数の減少が確認された。
一方、米国では1カ月以上のソーシャルディスタンス戦略が採用された。この政策は感染の拡大を遅らせたが、感染を止めることはできなかった。中には、新規の感染者数が上昇する州もあったという。
■子供は新型コロナに感染しにくい
研究グループによると、中国で感染拡大を抑制できたのはソーシャルディスタンシング戦略を厳格に行ったからだという。ほとんどの人が家族以外への接触を断ったため、新型コロナウイルスが別の人に感染する機会が著しく減少できた。研究グループは、ソーシャルディスタンシング戦略はエピデミックを抑制するのに非常に有効な手段だと結論づけている。
また今回、子供の間では病気に感染しにくいことも判明した。研究グループによると、いくつかの要因が感染リスクの減少に貢献していると推測する。中国では15歳未満の子供は15歳から64歳までのグループと比較し、感染は3分の1程度だった。研究グループは、接触タイプの違いが原因ではないようだと推測する。
子供は接近して遊んだり、手を洗わずに接触する傾向にある。研究グループは、グループ間での感染の違いが行動様式ではなく生物学的な原因と関連しているのではないかとみている。
研究の詳細は、Science誌に6月26日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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