見えない敵・新型コロナとの”静かな戦争” (9) 変わる企業と、変われない業種!

2020年5月29日 07:20

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 新型コロナウイルス感染拡大防止の緊急事態宣言は、25日に全面解除された。1週間に人口10万人当たり0.5人としていた感染者発生の目安が、日本全国で概ねクリアされたことから、今後は再度の感染拡大を抑止するために新しい生活様式を徹底すると共に、働き方も工夫して実践することが必要だ。経団連は14日に、業種を横断した対策のガイドラインを公表している。

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 6月に開催が集中する株主総会については「来場者のいない開催も検討」する方針を示したが、感染拡大に焦点が向けられるあまり、株主の正当な権利が適切に行使できなくなるのは大きな問題だ。「開かれた総会」という理念がコロナウイルスの一撃で雲散霧消することがあってはならない。

 事前の議決権行使は言わずもがなで、経営者が真摯に株主総会と向き合う緊張感を醸成するために、どんなことが可能かという知恵を出し合う必要がある。「オンライン飲み会」の延長線上で「オンライン株主総会」が開催されるようでは、株主総会の存在理由が問われても仕方がない。

 時間的な制約は否めないが、最低でも双方向のシステム導入が検討されるべきだろう。テレビ番組で行われている「視聴者参加」方式に議決権割合を加味して、リアルタイムで壇上に設置した巨大スクリーンに、株主の意向を反映させるくらいのプレッシャーがあってもいい。

 出勤が不可欠な工場等の現場作業に関しては、従業員の密集を避けるためローテーション勤務や週休3日制が要請されている。

 中西宏明経団連会長の出身母体である日立製作所では、職務定義書(ジョブディスクリプション)を基に社員の職務を明確にし、その達成度合いが目に見える「ジョブ型」の雇用を本格導入するようだ。このジョブ型の導入により緊急事態宣言発令後、在宅勤務となった国内社員の約7割(約2万3千人)に対して、週2~3日は在宅勤務とする方針だ。日立の7割の社員の通勤が概ね半減することになる。

 東芝は製造現場の従業員に週休3日制を導入する。現在の所定労働時間(1カ月約160時間)は完全消化することが大前提だ。

 例えば週休2日制の現在、1日8時間の労働を毎週5日続けて1週間の労働時間は40時間となる。1日の勤務時間を2時間延長すると4日の勤務で1週間の労働時間は同じく40時間だ。単位期間ごとの労働時間は変わらないので、給与も今までと同じということになる。当面は約7万6千人を数える全従業員の約1万人が対象になるようだ。1万人の出勤が2割減少するという社会的な効果が生まれる。

 日本全国で進められている出勤日数削減の動きは、JRや私鉄などの公共交通機関の業績にとって脅威となる。今まで変動が少ない通勤客の需要に支えられて、安定した経営を続けてきた公共交通機関にとっては「青天の霹靂(へきれき)」だろうが、この霹靂(雷鳴)は今後曇天になっても雨天になっても止むことはない。新型コロナウイルスによって引き起こされた社会の変化に、柔軟に対応できない公共交通機関の中には、降って湧いたような激流に飲み込まれる企業も出て来るのだろうか?(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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