自動運転レベル3の損害賠償、責任の所在はどうなるのか

2020年4月24日 18:04

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 SAEレベル3の自動運転車が、4月1日に解禁となった。自動運転では、システムの欠陥・障害等による事故が想定され、事故原因・責任関係の複雑化が予想されることから、国土交通省は、自動運転における損害賠償責任に関する研究会を2016年から開催している。

【こちらも】2030年にはレベル5の全自動運転車が普及か 「レベル3の壁」を突破する鍵は?

 多くの人は、安全運転支援システムを高く評価している。高速道路走行時や渋滞時などで、アクセルやブレーキ、そしてハンドル操作がアシストされ、運転者の負担は軽減される。SAEのレベル1~2では運転支援にとどまっていたが、レベル3では、高速道路など特定の場所においてのみだが、全て自動運転により操作され運転手は緊急時などにのみ運転を行う。今後自動運転が普及すれば、現在の自動車損害賠償保障法ではいくつか問題がでてくる。

 この問題について、国交省でも自動運転における損害賠償責任に関する研究会が開かれ、自動車損害賠償保障法の損害賠償責任のあり方について、検討を行っている。そこでその中から現状の報告を2つほど紹介する。

 1つ目は、自動運転利用中に事故が発生した場合、責任の所在がどこにあるのかといった問題だ。現状では、事故が起きれば、被害者の救済をいち早く行い、自賠責保険で迅速に保障を行うように制度が整っている。しかし自動運転では、人が運転操作をしておらず、事故の原因がどこにあるか定かにならないことも考えられる。

 現在国交省では、自動車の運行を支配している人、また、自動車の運行で利益を得ている人の2つの要件を満たす運行供用者には、従来通りに責任を負わせる有効性が高いとしている。しかし、従来の運行供用者への責任を維持しつつも、保険会社等が、自動車メーカー等に求償権行使の実効性確保のための仕組みを検討することが、適当であるともしている。

 2つ目として、ハッキングにより引き起こされた事故の損害補填をどうすべきかといった問題だ。

 現在は盗難車が事故を起こした場合、政府保障事業により損害の補填を行っている。そこでハッキングによる事故も、同様の対応で保障することが妥当としている。ただし、自動車の所有者は、必要とされるハッキング対策を講じていなければならないとしている。

 現状の法律では、まだ人が運転した場合に対応した法整備でしかない。しかし、現在進められている法の考え方としては、自動運転で事故などのトラブルが発生した場合は、自動車のシステムではなく、自動車の持ち主に責任が及ぶことになるということだ。特に事業者などが自動運転車を購入する場合は、法改正を待ってから検討したほうが良いだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

関連キーワード保険自動運転ハッキング国土交通省

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