トヨタ・ヤリス&ホンダ・フィット 「あれ?」と思わせる逆転の特徴 Bセグ競争 (2/2)

2020年4月12日 15:53

印刷

ホンダ・フィット(画像: 本田技研工業の発表資料より)

ホンダ・フィット(画像: 本田技研工業の発表資料より)[写真拡大]

 それだけであれば、普及車を造るメーカーであればどこでも同じであり、ホンダは利益率をこれほど下げることはなかったのだが、金融知識によってビジネスモデルを捉える経営陣では、「生産技術」を加味してホンダのビジネスモデルを捉えることが出来ずにいる。また、自動車会社は「造り方」で勝負が決まるのだが、ホンダは生産技術開発を怠り、コストダウンに疎い結果となってしまっている。

【前回は】トヨタ・ヤリス&ホンダ・フィット 「あれ?」と思わせる逆転の特徴 Bセグ競争 (1/2)

 さらには、製造現場で最も注意しなければならない品質が安定せず、新型フィットでも始めからつまずいてしまった。これは、部品を造る製造現場との関係性を理解できていないことによる結果だ。

 すなわち、サプライヤーの品質管理において、発注側が品質管理技術を持っていないと指導も出来ないのだ。「技術は買って来れば良い」とするには、生産技術も品質管理技術も高いレベルであることが発注側のホンダに必要なのだ。ホンダ経営陣には、自動車メーカーのビジネスモデルが理解できていないと思われる。

 しかし、新型フィットの仕上がりは現代のオーナーのニーズを捉えており、日常使用においての性能が高い作りとなっている。「フィーリング」の良いことを狙った設計方針は見事に実を結んでおり、商品価値に対してコスト管理も出来ていたようだ。プラットフォームは従来のままのものを改善し、その部分ではコストが掛からないようにして、心地よいクルマを目指してコスト配分をしたようだ。

 だが、ホンダは未だに共通プラットフォームを使わないなど、ラインの生産性向上、特に平準化が出来ていないのは明らかだ。このことは、企業としてトヨタのTNGAのような、全社的視野で財務体質を改善する下地が出来てはいないことを示している。また、ホンダはGMとの協力が進んでいるが、協定を結んだのなら平準化を狙ってコストダウンすることが大切だ。

 新型トヨタ・ヤリス、新型ホンダ・フィット共に、それぞれの特徴を出し見事な出来であると言える。しかし、ホンダには全社の企業活動を俯瞰して評価し、ビジネスモデルとして安定させることにもっと努力してほしい。企業経営としては、トヨタの方が地に足がついていることが目立つ結果である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事