地球サイズの天体衝突が天王星の奇妙な環境を作り出した 東工大などの研究

2020年4月10日 17:34

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横倒し状態で公転する天王星 (c) ELSI

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 太陽系にある惑星のうち、自転軸の向きが極端な天体が天王星だ。太陽系の黄道面に対し、地球が約23.4度傾いているのに対し、天王星の傾きは約97.9度とほぼ横倒し状態だ。東京工業大学は6日、地球の1~3倍の質量を持つ氷の惑星が天王星に衝突することで、天王星の自転軸の向きが極端になったことを示すシミュレーション結果を発表した。

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■太陽系形成の謎を解く天王星の環境

 若い恒星の周りは、「原始惑星系円盤」と呼ばれる塵やガスからなる円盤が取り囲んでいる。この塵やガスが集積することで誕生したのが惑星だ。惑星は、岩石から構成される地球型惑星、水素やヘリウム等の軽元素からなる木星型惑星に大別される。

 他方、天王星や海王星等の惑星は木星型惑星と構成要素が類似しているが、太陽から遠く離れているため天王星型惑星(アイス・ジャイアント)に分類されている。

 海王星が地球と同等の自転軸傾斜角をもつのに対し、天王星は自転軸が「横倒し」になりながら太陽の周りを公転している。また太陽系惑星のほとんどの衛星が自転と同じ向きに公転しているのに対し、天王星の衛星であるトリトンは自転と逆向きに公転するなど、天王星環境の特殊性が天文学者を悩ませてきた。

 天王星の奇妙な環境の謎を解き明かす有力な説として、巨大な天体が天王星に衝突することで環境が変化したとするものがある。惑星形成期に天体が斜めに衝突したため、横倒しの状態を維持しているのだという。この説を確証するために、さまざまな研究グループがコンピューターシミュレーションを用いてきた。

■衝突した天体は地球サイズ以上

 東京工業大学地球生命研究所の研究者らから構成されるグループは、天王星の特殊な環境を考慮したモデルを構築し、コンピューターシミュレーションを実施した。ほとんどの太陽系惑星が衛星をもち、異なる大きさや軌道、組成や特性をもっている。これらが衛星の形成に影響を及ぼすのだという。

 地球の場合、火星程の大きさの天体が約45億年前に衝突した。これが地球や唯一の衛星である月の構成、その公転の仕方を説明するのだという。

 揮発性物質から構成される天王星は地球とは異なる環境にある。地球の場合には天体が衝突すると急速に固体化できたので、月は自らの重力により衝突した天体の残滓を集積できた。他方天王星の場合にはそのほとんどが蒸発するため、惑星の自転軸を横倒しにし、高速な自転周期を与えた。地球の約4倍の質量をもつ天王星に対し、地球の1~3倍程度の氷の天体が衝突したのだという。

 研究グループによると、提案モデルは海王星のような他のアイス・ジャイアントの構成を説明することにも役立つとしている。

 研究の詳細は、国際学術誌Nature Astronomyに3月30日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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