低温動作可能な固体酸化物燃料電池用の電解質膜を開発 東京理科大など

2020年4月5日 08:20

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 燃料電池の中でも固体酸化物燃料電池(SOFC)は、高効率でクリーンであることから注目されてきたが、固体酸化物のイオン導電性が低く、高温でないと動作しにくいという課題があった。そこで東京理科大学、高エネルギー加速器研究機構、東北大学などの共同研究グループは、高いイオン伝導性、電子導電性を有する固体電解質膜を研究してきた。その成果として3日、特異なイオン伝導性を有するサマリウム置換CeO2(SDC)薄膜を作製したと発表した。

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 SOFCは正極と負極で固体電解質の膜を挟んだサンドウィッチ型の構造をしており、全て固体で構成されていることが特徴である。燃料電池の中で最も高効率で廃液やCO2を排出せずクリーンである一方、動作温度は700度以上と高いことがネックとなっていた。

 共同研究グループはこれらの課題に対処するために、高いイオン伝導性や電子伝導性が期待できるCeO2薄膜の研究を行ってきた。近年ではSDC薄膜が高いイオン伝導性を有することが分かってきたが、そのメカニズムについては不明な部分が多かった。そこで今回の研究では、SDC薄膜の構造を変化させる改良とその効果について調査が行われた。

 その結果、SDC薄膜の膜厚を薄くすることで結晶表面特有の特異な現象が発生することが判明。膜厚を15ナノメートルまで薄くすることで、100度以下の低温でもイオン伝導性が発現するようになった。これはSDC薄膜表面に吸着している水分子の影響であることも、分析によって明らかになっている。

 さらに、SDC薄膜の結晶構造における特定の面が表面に配置されることで、反応が促進されることも観察されている。このことは、薄膜の結晶構造を制御することにより、性能を向上させられる可能性があることを示唆するものである。

 以上の研究成果によりSOFCの動作温度を低下させられる可能性が示された。このことはSOFCの用途拡大やコスト削減に繋がりうる。また、将来的にはSOFCが原子力・火力発電に代わる発電システムとなることも期待される。

 今回の研究成果は2月17日付のNanoscale Research Lettes誌のオンライン版にて公開されている。

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