コロナショックで米ドル崩壊? 原因は原油価格の低迷と未曽有の量的緩和にあった

2020年4月3日 17:45

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 2019年8月23日にイングランド銀行総裁・マーク・カーニー氏は、公式会見で次のように述べていた。『世界基軸通貨・米ドルは、近いうち各国の中央銀行(通貨発行権を持つ民間銀行組織)が発行するデジタル通貨のネットワークに取って代わられるだろう』。

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 そして今、コロナウイルスショックによってアメリカ株は投げ売られ、アメリカ国債までもが現金化される事態に発展している。また世界的な活動自粛が進む中、エネルギーの要である原油消費が急激に落ち込み、原油価格も大暴落している。

 世界規模のバブル崩壊の様相を呈する大混乱の先にあるものは、世界基軸通貨・米ドルの終焉だと専らの噂だ。

 この推論は、かなり以前から金融機関や経済関係者の間で囁かれてきた。2008年にブロックチェーンによる暗号通貨ビットコインが登場し、新しい通貨へのステップが確からしさを増した。

 その後、世界に27億人ものユーザーを抱えるFacebookがデジタル通貨・リブラを2020年前半にリリースしようと躍起に動いていること。14億人を抱える中国の中央銀行が、最先端の量子コンピュータ技術を駆使したデジタル人民元のリリースを間近にしていること。ヨーロッパ各国の中央銀行がステーブルコインとしてのデジタル通貨を開発中で、ほぼ米ドルの受け皿は固まりつつある。

 では、なぜこのタイミングなのか?その答えは大きく2つ。21世紀に入ってからオイルダラーのパワーが大幅に落ちていることと、これまでFRBが未曽有の量的緩和で大量のドルを垂れ流してきたこと、これによってドル経済のハイパーインフレ危機に直面しているからだ。

 そもそもドルが世界基軸通貨として世界的に流通するようになった起因は、米ドルが定率で金と兌換できたからに他ならない。1934年以降、1オンス35ドルで外国通貨当局へ金引渡しを行ってきた。しかし金保有の減少を危惧したアメリカは、1971年にドル・金の兌換を停止。これがニクソンショックである。

 これを機に、米ドルの価値は下落へ転じていく。それをかろうじて食い止めてきたのがオイルマネー制度だ。情勢不安で苦しむ中東の治安維持を条件に、原油の売買決済をドルに限定させてドルの価値を維持したのである。

 しかし近年のエネルギー事情は大きく変化しており、ロシアや中国をはじめとするOPEC以外の産油国が増加し、原油先物相場は2008年の1バレル140ドルをピークに下落中だ。そしてコロナウイルスショックで20ドルまで急落、オイルダラーに買い支えられていた米国債も世界的に売られまくり、ドル崩壊リスクが迫っていると言う。

 加えてリーマンショック以降の未曽有の量的緩和で米ドルは過剰供給となり、この世界経済の低迷に耐えられないと言うのだ。コロナウイルスショックで一時的にドル買いが先行してはいるが、事態収束の中で大量保有されたドルが一気に資産対象へと交換されるだろう。その時がドルの終焉となるかもしれない。(記事:TO・記事一覧を見る

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